女性の性をめぐる作品を発表してきたホアン・ジーと大塚竜治のコンビ。最新作「石門」(2022)の2月28日(金)日本公開を控える中、新たに彼らの第1作「卵と石」(2012)と第2作「フーリッシュ・バード」(2017)を今春にアップリンク吉祥寺ほか全国で順次上映することが決定した。
「卵と石」
中国湖南省の田舎町に暮らす14歳のホングイ。両親は都会で働いているため、もう7年も叔父夫婦のもとに身を寄せ、幼なじみのアジウと会うのを唯一の楽しみとしている。そんなホングイには、ある深刻な悩みがあった……。ホアン・ジー監督が子どもの頃に遭った性被害に基づく、衝撃の物語。第41回ロッテルダム国際映画祭タイガー・アワード受賞。
監督・脚本:ホアン・ジー 撮影・編集:大塚竜治
主演:ヤオ・ホングイ
2012/中国/中国語/ビスタ/1時間45分
©YELLOW-GREEN PI
「フーリッシュ・バード」
中国湖南省の地方都市に暮らす16歳のリン。母は出稼ぎのため不在で、身を寄せる祖父母の家には居場所がなく、高校ではいじめに遭っている。やがて親友と共に、高校で盗んだスマホを転売して小遣いを稼ぐようになったことで、街の怪しい人々と関わるように……。思春期の《初体験》に焦点を当てた物語で、第67回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14+部門スペシャルメンション受賞。
監督・脚本:ホアン・ジー、大塚竜治
編集:リャオ・チンソン、大塚竜治 音楽:リン・チアン
主演:ヤオ・ホングイ
2017/中国/中国語/シネスコ/1時間57分
©YELLOW-GREEN PI・COOLIE FILMS
〈コメント〉
ホアン・ジー監督
私の母は『卵と石』と『フーリッシュ・バード』を鑑賞した時に、初めて私が中学と高校でどんな困難に直面していたのかを知りました。
そして、母は尋ねました。「どうして私に言わなかったの?」
あなたにも家族や友達に言えない困難がありますか? もしかしたら、『卵と石』や『フーリッシュ・バード』が、あなたと彼らの間にある『石門』を開くかもしれません。
大塚竜治監督
今回『石門』の公開を機に、前作の『卵と石』および『フーリッシュ・バード』が同時公開されることとなり、とても嬉しく思います。映画『卵と石』の制作時に初めてヤオ・ホングイを起用したとき、彼女はまだ13歳でした。第一印象は、彼女の眼差しでした。彼女は、中国の現代社会の波に流されることなく、何か先を見据えた強い意志を持っていました。その眼差しは私たちを惹きつけ、三作品に渡り10年間撮り続けることになりました。今から12年前の『卵と石』、8年前の『フーリッシュ・バード』の時、彼女の視線の先には何が見えていたのだろうか?