平和なはずの村で、頭を斧で割られた死体が見つかった--。「Două lozuri」(2016)の俊英パウル・ネゴエスク監督が人間の醜さを生々しく描き、ルーマニア・アカデミー賞(GOPO賞)で作品賞、監督賞、主演男優賞など6冠に輝いた「おんどりの鳴く前に」が、1月24日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、京都シネマほか全国で順次公開される。アニメーション作家・イラストレーターの若林萌が手掛けたオルタナティブポスター、著名人のコメントが到着した。
たびたび登場する雄鶏が作品に独特なリズムを生み出しているのが印象的でした。人々が争っても自然や動物はそこで普通に暮らしているのです。彼の存在によって人間たちのやり取りが何だか虚しく見えた気がしました。イラストにする際、争いの痕跡を雄鶏がちょっと引いた眼差しで見つめる様子を「おかしみ」を持って描こうと思いました。(若林萌)
〈コメント〉
平凡な日常を変える事に、小さな勇気を出す事に、こんなにもバタバタとみっともない……。
なんて愛おしく人間らしいんだ。
--吉田恵輔(映画監督)
パウル・ネゴエスク監督は、“匙加減”が絶妙である。
冒頭、敢えて感情移入しづらい主人公を描き、時間経過ととも私たちを引き込んでいく。
緊張感のあるカメラがひとたびパンすると、映像の中には情報が徐々にさり気なく映し込まれていく。
コーエン兄弟の「ブラッド・シンプル」を彷彿させ、これからが楽しみな監督だ。
--筒井真理子(俳優)
平凡な日常が、徐々にずれ始め、衝撃的なラスト。至るところにコミカルさもあって。いゃ〜、こうゆうの好きだわ〜。俳優さん、みなさん良かった!主演のユリアンさん、背中が最高!芝居も最高!いゃ〜、こうゆうのやりたいわ〜。
--光石研(俳優)
社会と個人の倫理が衝突する様を、現代のルーマニア映画は描き続けてきた。
「おんどりの鳴く前に」も、正にその系譜にある作品だ。
警察官として生きるか、それとも1人の人間として生きるか。
この葛藤の果てにある血生臭さ、そして圧倒的な虚無感。
これだよ、これが俺の好きなルーマニア映画なんだ。
--済東鉄腸(ルーマニア語小説家)
Story
ルーマニアのモルドヴァ地方にある村。野心を失った中年警察官イリエは、果樹園を営みながらひっそりと第二の人生を送ることを望んでいた。そうした中で起きた惨殺事件をきっかけに、彼は村の闇を次々と目の当たりにするが……。
© 2022 Papillon Film / Tangaj Production / Screening Emotions / Avanpost Production
配給:カルチュアルライフ
︎ 惨殺事件から村の闇が明らかに。ルーマニア・アカデミー賞6冠「おんどりの鳴く前に」