新鋭・余園園監督が二重生活を通した解放と蘇生を描く「ダブル・ライフ」

新鋭・余園園監督が二重生活を通した解放と蘇生を描く「ダブル・ライフ」1
新鋭・余園園監督が二重生活を通した解放と蘇生を描く「ダブル・ライフ」2

提供:キネマ旬報

夫とレンタル夫との間を行き来する二重生活の中、詩織は他者の身体に触れてその心を感じ取る《身体的》かつ《心理的》なアプローチにより、自身の新たな感情に気づいていく--。中国の北京電影学院を卒業後、日本の立教大学の大学院で学んだ余園園(ヨ・エンエン)監督が、《人間レンタル業》を題材にしたヴェルナー・ヘルツォーク監督作『ファミリーロマンス社』(2019)に着想を得て撮り上げた「ダブル・ライフ」が、4月19日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開される。

宮崎大祐監督作「ざわめき」の菊地敦子が主演。映画は北村匡平(映画研究者)に「是枝裕和を継承し、濱口竜介と同時代に生きる」と評され、SKIDシティ国際Dシネマ映画祭2022国内コンペティション長編部門グランプリとバーリ国際映画祭監督賞を受賞、第35回東京国際映画祭やタリン・ブラックナイト映画祭2022でも上映された。完成から2年越しの待望の劇場公開となる。

〈コメント〉
余園園監督
『ダブル・ライフ』は立教大学大学院の修了制作であると同時に、私自身にとって「悲願の長編デビュー作」でもあります。物語の基盤、テーマにおいて、本作はヴェルナー・ヘルツォーク監督作品『ファミリーロマンス社』の影響を強く受けています。同作に、不気味さ、虚しさ、現実との乖離を感じ、不思議な共感を覚えたのです。
「レンタル人間」「二重生活」「ふれあい」というテーマの掘り下げは、自分自身をもっとさらけ出したいという、私自身の潜在的欲求に基づいています。北京でも東京でも、心にぽっかり穴が空いたまま日々がいたずらに過ぎてしまい、人と人との間にいつも隔たりを感じています。愛されたい、心の穴を埋めてほしい、と願っているのは主人公の詩織だけではなく、私自身であり、あなた自身でもあるかもしれません。
この度、2年越しに劇場公開が叶い、感無量です。この作品は私の映画作りの原点であり、今もエネルギーをもらっています。
「埋まらない穴」を持っている映画の中の人物も私も、他者と触れ合い、そして互いに満たし合う。『ダブル・ライフ』を通じて、みなさんとのふれあいが生まれることを心から願っています。ぜひ劇場で観ていただきたいと思います。よろしくお願いします。
菊地敦子(小柳詩織役)
誰もが幾重もの層を持って生きている。
自分に語りかける自分、人に会うときの私、あなたの微笑みの裏側。
そしてその層を抱えながら、ままならぬ人生を歩まなければならないとき、支えとなってくれるもののことを、この役が教えてくれた。
Edvinas Pukšta(タリン・ブラックナイト映画祭より)
繊細かつ率直で大胆なデビュー作で、中国のヨ・エンエン監督は、誰かの人生の重要な出来事のために代理の人間をレンタルするという、日本では珍しい奇妙な習慣を繊細に探求している。巨匠ヴェルナー・ヘルツォークは2019年の映画『ファミリーロマンス社』で日本人特有の習慣や厄介なサービスを暴露したが、北京電影学院の卒業生であるヨはもっと勇敢で、偽物の人間関係の危険な課題に深く飛び込んでいる。聡明で自信に満ちたこの作家は、一見ロマンチックなミニマリスト・ドラマに、残酷で胸を締め付けるようなひねりを加えて私たちを驚かせる。

「ダブル・ライフ」
出演:菊地敦子、松岡眞吾、古川博巳、若狭ひろみ、浅田麻衣、川口紗弥加
監督・脚本・編集:余園園
撮影:小濱匠 照明:村澤慎太郎 録音:西田壮汰 助監督:小林勁太 制作:小林徳行 美術:閻作宇、周暁彤 撮影助手:永原大祐 録音応援:菅谷拓人 日本語協力:伊藤駿 整音:磯沼瑞希、上戸幸輝 カラリスト:潘澤標 音楽:川島陽 ピアノ:川島有希枝 振付:砂連尾理
宣伝デザイン:千葉健太郎 宣伝:よしのまどか 協力:万田邦敏
2022年/日本・中国/DCP/104分/アメリカンビスタ/ステレオ
©2022 ENEN FILMS
公式サイト:https://doublelife-enenfilms.com

新鋭・余園園監督が二重生活を通した解放と蘇生を描く「ダブル・ライフ」3
最終更新日
2024-03-14 15:52:55
提供
キネマ旬報(引用元

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