提供:キネマ旬報
富名哲也監督の「わたくしどもは。」が第36回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されたのを受け、同監督の長編デビュー作であり、内田裕也と内田也哉子が親子初共演を果たした「ブルー・ウインド・ブローズ」(2018)が、11月10日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。
舞台は佐渡島。アオ少年(田中日月)は、自分への誕生日プレゼントを買いに行ったきり戻らない父が、バケモノにさらわれたと思っている。そんな彼の前に、里親に育てられている転校生の小夜子(新音)が現れ、孤独な二人は心を通わせる。
アオの母で義肢制作を生業とするミドリ(内田也哉子)は、幼なじみ(萩原聖人)に好意を寄せられ、心が揺らいでいる。アオの祖父(内田裕也)は、子どもたちの未来を案じている。
ある夜、里親に辛い仕打ちを受けた小夜子がアオを訪ねてくる。二人は深夜、ミステリアスなバスに乗り、アオの父が幼い頃に見たというバケモノのいる海へ向かうことに--。
第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション・コンペティション部門に出品された本作。コロナ禍により延期されていた劇場公開が、ようやく実現する。
富名監督は佐渡島を舞台にした理由を「佐渡は、あちらの世界とこちらの世界のちょうど間にあるような不思議な場所に感じた。そして、行方不明になった父親はバケモノにさらわれたと思っている少年が暮らしている物語の風景にピッタリだと直感した」からだと説明。
さらに、タイトルの「ブルー・ウインド・ブローズ」(青い風が吹く)の由来を「宮沢賢治が青色の風は涅槃から吹く風と話していたことを本で目にして、そのことが頭の隅にずっとあった」、島内のオーディションで選んだ兄妹役の二人について「実際の兄妹を抜擢しました。二人ともとても目が澄んで綺麗だったので」と話す。
内田也哉子は「佐渡島という美しく神秘的な島で、父と初めて映画に出演し、図らずも最後の経験となりました。ほんのワンシーンではありましたが、忘れ難い思い出です。この作品の主人公である少年は、お父さんを化け物に連れ去られたと信じています。私も彼の気持ちが少しばかりわかるような気がしました」とコメント。
故・内田裕也は娘との共演に「照れるなー」を連発、「こんなに疲れたのは初めてだ!」「こんな機会あるとは思ってなかったけど、良かった」と話していたという。
なお富名監督の短編「終点、お化け煙突まえ。」(2013/岸井ゆきの主演、川口覚と玄理が共演)も併せて上映することが決まっている。
「ブルー・ウインド・ブローズ」
出演:内田也哉子、田中日月、田中椿、新音、萩原聖人、森山開次、福田ルミカ、内田裕也
監督・脚本:富名哲也
企画・プロデュース・キャスティング:畠中美奈
製作・配給:テツヤトミナフィルム
カラー/80分/日本
©テツヤトミナフィルム
公式サイト:URL: https://bluewindblows.com