提供:キネマ旬報
選挙の面白さを伝えるフリーランスライターの畠山理仁(50)。国政から地方、海外まで選挙取材歴は25年を超え、執筆に際しては候補者全員を取材するのが信条だ。それらをまとめた書籍「黙殺~報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い~」(集英社)は、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した。そんな畠山の肩越しにカメラを据えると、一体どんな世界が映り込むのか--。選挙に取り憑かれたライターの情熱と苦悩、そして日本の民主主義の現在地に迫った「NO 選挙,NO LIFE」が、11月18日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開される。
監督は、「なぜ君は総理大臣になれないのか」(20)「香川1区」(22)「劇場版 センキョナンデス」(23)「国葬の日」(23)のプロデューサーである前田亜紀が務める。音楽は、畠山を《師匠》と慕うラッパーであり、「劇場版 センキョナンデス」を監督したダースレイダーが率いるバンド、The Bassons(ベーソンズ)が担当。渾身のオリジナル曲が生まれた。
2022年7月の参院選・東京選挙区。34人の候補者全員への取材を試みる畠山に、カメラは密着する。都内各所での街宣を分刻みで巡ると、そこには超個性的な候補者らの姿があった。だが候補者が珍種なら、取材者の畠山もまた珍種だ。1人で選挙現場を走り回り、睡眠時間は平均2時間。本業の原稿書きもままならず、経済的に回らない本末転倒な生き方で、家族に散々迷惑をかけてきた。もう50歳。「この生き方もそろそろ潮時」と、参院選の最終日、引退を口にした。
9月に行われた沖縄県知事選の取材を最後にすると言う畠山を追って、沖縄へ。そこで出会ったのは、他の地域では見られない、有権者の選挙への高い参加意識と、民主主義を諦めない思いだった--。
〈コメント〉
畠山理仁さん
選挙取材にハズレなし。選挙を観ると元気になる。これが四半世紀近く「候補者全員取材」を信条としてきた私の感想です。
実際に多くの候補者に会うと「ポスターだけではわからないこと」や「有権者との交流が候補者を育てる」ことがわかります。パワフルな候補者からは「自分ももっと自由に生きていいんだ」と大きな勇気をもらえます。
候補者は民主主義社会の宝です。選挙ほど面白くて愛おしい人間の営みはありません。きっと、誰も観たことがない映画になっているのではないでしょうか。ぜひ観てください。
前田亜紀監督
寝食を忘れ、収支もそっちのけ、吸い寄せられるように選挙現場に通う畠山理仁さんは、「選挙ほど面白いものはない!」と断言します。本当にそうなのだとしたら、その面白さを見てみたい!と思い、畠山さんの肩越しにカメラを据えることにしました。
さて、そこに映るのは、知られざる選挙の魅力か、それともクレイジーなライターの生き様か。
ぜひ本作でご確認ください。
「世の中に決まったことなんてない」ことが分かります。
大島新プロデューサー
本作は選挙の魅力や醍醐味を描いた映画ですが、もう一つのテーマは人間の「ピュアさ」だと思っています。ピュアの塊のような畠山さんの肩越しに映る候補者には、ピュアな人と、そうとは思えない人がいます。そうしたことが露わになった理由は、取材をしたのがこれまたピュアな前田亜紀監督だからです。人はいつまで目の輝きを失わずにいられるのか。そんなことを考えるきっかけになれば、うれしいです。
「NO 選挙,NO LIFE」
製作:ネツゲン
配給:ナカチカピクチャーズ
監督:前田亜紀 プロデューサー:大島新 編集:宮島亜紀 音楽:The Bassons(ベーソンズ)
2023/日本/カラー/DCP/5.1ch/109分
公式サイト:https://nosenkyo.jp
©ネツゲン