提供:キネマ旬報
レゲエ誕生に大きな影響を与えながらもわずか数年で表舞台から去った伝説のレーベル〈トロージャン・レコーズ〉にフォーカスし、差別や偏見と闘う人々を鼓舞しながらダンスフロアを揺らしたルードボーイたちの儚い軌跡を辿る音楽ドキュメンタリー「ルードボーイ トロージャン・レコーズの物語」が、7月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。日本版ポスタービジュアルが到着した。
アーカイブ映像と再現ドラマを織り交ぜて描き、リー・スクラッチ・ペリー、トゥーツ・ヒバート、ケン・ブース、ネヴィル・ステイプル、マルシア・グリフィス、デイヴ・バーカー、ダンディ・リビングストン、ロイド・コクソン、ポーリン・ブラック、デリック・モーガンら伝説的アーティストが語り部として登場する本作。監督はイギリスのフォークロックバンド、マムフォード・アンド・サンズのライブを記録した「THE ROAD TO RED ROCKS」で2014年グラミー賞最優秀音楽映画賞にノミネートされたニコラス・ジャック・デイヴィスだ。
レーベルはいかに栄光を築き、転落したのか。注目したい。
Story
1956年ジャマイカ、西キングストン地区。デューク・リードが開業した酒場トレジャー・アイルには“トロージャン”と名付けられた巨大なサウンドシステムが備わっており、夜な夜な人々が集うダンスフロアと化していた。やがてリードは地元のシンガーやバンドを集め、オリジナルのレコードを吹き込む。デリック・モーガンが歌う「Lover Boy」は大ヒットし、その後も多くのシンガーを輩出。ジャマイカ発のリズム&ブルースは独自の進化を遂げ、スカやロックステディ、そしてレゲエが誕生した。
一方、ジャマイカ独立を機に多くの同国人が移住したイギリスには、アジア系ジャマイカ人の実業家リー・ゴプサルがいた。レゲエにビジネスチャンスを見出した彼は、1967年にイギリス初のレゲエ専門レーベル〈トロージャン・レコード〉を立ち上げる。イギリスに渡った“トロージャン”は多くのジャマイカ人に愛されただけでなく、労働者階級の白人ユースカルチャーとも共鳴。1970年4月26日にウェンブリー・スタジアムで開催されたレゲエ・フェスティバルでは、1万人を超える黒人と白人の若者がスタジアムを埋め、レゲエは人種を超えたムーブメントを巻き起こす。しかしトロージャン・レコーズの事業は傾き始め、倒産の危機を迎えてしまう……。
「ルードボーイ トロージャン・レコーズの物語」
2018年/イギリス/英語/85分/スコープサイズ/カラー/5.1ch/字幕:上條葉月/原題:Rudeboy: The Story of Trojan Records/配給:ダゲレオ出版(イメージフォーラム・フィルム・シリーズ)