提供:キネマ旬報
タヴィアーニ兄弟の弟であるパオロ・タヴィアーニが、ノーベル文学賞作家の遺灰をローマからシチリアへ運ぶトラブルだらけの旅を描き、2022年ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞に輝いた「遺灰は語る」が6月23日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。
「父/パードレ・パドローネ」(1977)「カオス・シチリア物語」(1984)「グッドモーニング・バビロン!」(1987)「塀の中のジュリアス・シーザー」(2012)などの名作を送り出してきたタヴィアーニ兄弟。兄のヴィットリオ亡き後、パオロが初めて一人で監督したのが本作だ。
映画が描くのは、1934年にノーベル文学賞を受賞したルイジ・ピランデッロの“遺灰”の旅。文豪は死に際に「自身の灰は故郷シチリアに」と言い残す。しかし時の独裁者ムッソリーニは、名誉を利用するため遺灰をローマに留めおいた。
戦後ようやく遺灰の壺が“帰還”することになり、シチリア島の特使が移送を任される。ところがアメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、壷がどこかへ消えたりとトラブルが続発。果たして無事に届けられるか--。
モノクロとカラー、情熱とユーモアが交差した波乱の旅物語は、イタリアの近現代史をも照射する。そしてエピローグには、ピランデッロの遺作『釘』を映像化した短編が登場。90歳を超えた名匠の久々の新作、見逃せない。
▲パオロ・タヴィアーニ(エピローグの出演者とともに撮影現場にて)
「遺灰は語る」
監督・脚本:パオロ・タヴィアーニ
出演:ファブリツィオ・フェラカーネ、マッテオ・ピッティルーティ、ロベルト・ヘルリツカ(声)
原題:Leonora Addio/2022/イタリア映画/90分/モノクロ&カラー
字幕:磯尚太郎 字幕監修:関口英子 配給:ムヴィオラ
© Umberto Montiroli