パリでは悪質な人間ほど高い席に座る。バルザック原作、セザール賞7冠の「幻滅」

パリでは悪質な人間ほど高い席に座る。バルザック原作、セザール賞7冠の「幻滅」
提供:キネマ旬報

文豪オノレ・ド・バルザックが19世紀フランス社会に翻弄される人々を描いた〈人間喜劇〉の一編『幻滅--メディア戦記』を、「偉大なるマルグリット」(15)のグザヴィエ・ジャノリが映画化。セザール賞で作品賞・最優秀助演男優賞(ヴァンサン・ラコスト)・有望新人男優賞(バンジャマン・ヴォワザン)を含む7冠に輝いた「幻滅」が、2023年に公開される。メインビジュアルが到着した。

野心と欲望に惑わされて堕落していく主人公の青年リュシアンを演じるのは、「Summer of 85」のバンジャマン・ヴォワザン。リュシアンを教育していく先輩ジャーナリスト役は、「アマンダと僕」のヴァンサン・ラコスト。私欲にまみれた世界でただ一人、誠実にリュシアンを見守る作家のナタン役は、監督としてもおなじみのグザヴィエ・ドラン。
さらにセシル・ド・フランス、新星サロメ・ドゥヴェル、ジェラール・ドパルデュー、ジャンヌ・バリバール、これが遺作となったジャン=フランソワ・ステヴナンといった実力派が共演する。
打算的な人々が集まり、生き馬の目を抜くようなパリとマスメディアの世界。現代でいうフェイクニュースやステルスマーケティングといった要素を織り交ぜながら、風刺に富んだ逸品に仕立て上げた監督のジャノリは、「わたしはとても肉体的な感覚や刺激を映画に持ち込みたかった。サロンの人々の動き、パリの異なるエリアの大衆の猥雑とした雰囲気、あるいは時代が移り変わっていくそのスピード、そういったダイナミックなムーブメントを生み出しながら、ここに登場する人々の人生、悲劇と喜劇を結びつけたいと思ったのです」とコメントしている。

Story
19世紀前半のフランス。恐怖政治の時代は終わり、復活した宮廷貴族は自由と享楽を謳歌していた。文学を愛し、詩人としての成功を夢見る田舎の純朴な青年リュシアンは、憧れのパリへ、彼を熱烈に愛する貴族の人妻ルイーズと駆け落ち同然に上京する。
ところが世間知らずで無作法なため、社交界で笑い者にされるリュシアン。生活のためどうにか新聞記者の仕事を得るも、金のために恥も外聞もなく魂を売る同僚たちに感化され、当初の目的を忘れて虚飾と快楽にまみれた世界に身を投じていく……。

「幻滅」
監督・脚本:グザヴィエ・ジャノリ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ - AFC SBC 編集:シリル・ナカシュ 美術:リトン・デュピール=クレモン - ADC
出演:バンジャマン・ヴォワザン、セシル・ド・フランス、ヴァンサン・ラコスト、グザヴィエ・ドラン
2022年/フランス映画/フランス語/149分/カラー/5.1chデジタル/スコープサイズ/原題:Illusions perdues
字幕:手束紀子 配給:ハーク 配給協力:FLICKK R-15
© 2021 CURIOSA FILMS – GAUMONT – FRANCE 3 CINÉMA – GABRIEL INC. - UMEDIA

最終更新日
2022-11-04 17:26:06
提供
キネマ旬報(引用元

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