トランスジェンダーの主人公と少女の絆を描き大きな話題となった『ミッドナイトスワン』(’20)で第 44 回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた内田英治監督が原案・脚本・監督を手掛けた最新作『ナイトフラワー』が 11 月 28 日(金)に全国公開。
この度、丸の内ピカデリーにて完成披露試写会が実施され、主演の北川景子、共演の森田望智、佐久間大介(Snow Man)、渋谷龍太、田中麗奈、光石研、そしてメガホンをとった内田英治監督が登壇した。
子供の未来を守るため、ドラッグの売人になることを決意する母親・永島夏希を演じた北川は「撮影から 1 年弱時間が経ち、みなさんと一緒に頑張った作品をお客様に御披露目できるということで楽しみ半分、緊張半分の気持ちで今日は来ました」と初々しく挨拶。
演じた夏希については「夏希は一人で二人の子を育てる母親。子供が餃子を食べたいと言ったら何としてでも手に入れようとしたり、バイオリンを習いたいと言えば何とか習わせようとする。とても一生懸命で愛に溢れる良いお母さんです。私も子供が二人おりますので、とても共感できました」とシンプルに演じる事が出来たと述べた。本編通して大阪弁のセリフにも披露しており「観客の皆さん的には関西弁の“べらしゃべり”は初めて聞くと思うので新鮮かもしれません」と聴きどころにあげていた。
夏希のボディーガードとしてタッグを組む芳井多摩恵役の森田は、役作りの一環で 7 キロも増量したという。北川が「体の大きさが今と違う」と驚くと、当の森田は「そうです。当時は首がなかったです。撮影中もお肉とお米ばかりを食べていて、痩せないように寝る前にステーキを焼いて食べたりして」と明かし、会場をどよめかせていた。多摩恵が所属するジムの会⻑・多田真司役の光石も森田の豹変ぶりに「前にお会いした時と体形が違うのでご挨拶を頂いた時に『え?誰ですか?』という感じでした」と目を丸くしていた。
多摩恵に密かに想いを寄せる幼馴染・池田海役の佐久間は、内田監督のオシャレさを絶賛。内田監督が着用していたジャージを撮影中に「欲しいです!ください!」と褒めたところ、翌日新品をプレゼントしてくれたという。佐久間は「それを僕はいまだに履いています。ちょうどクリスマス時期だったので、僕にとって内田監督はサンタクロースだと思っています」とジョークで笑わせ「前回出演した内田監督作のキャラとは違って、今回はより自然なセリフを研究して演じたので、それを見ていただけるのが楽しみ」と期待を込めていた。
夜の街で暗躍するドラッグの元締めサトウ役の渋谷は演技初挑戦。「撮影が終わるまで『本当に俺が出て良いのか?』とずっと思っていました。バンドを 20 年やっていて、色んなことを知った気になっていたけれど、今回の挑戦は本当に知らない現場で独特な緊張感と空気が流れる中、自分が芝居している事がフワッとしていて」と、かなり緊張した様子。そんな中、共演した北川、佐久間、森田には最敬礼で「緊張して5 時間くらい同じ場所に座っているような僕を解きほぐして、場の空気に馴染ませてくださったのが印象的。お芝居が楽しいなと思えました」と感謝しきり。佐久間は俳優・渋谷の存在感を「圧倒的な迫力」と賞嘆していた。
大学生の娘の素行に悩む総合病院の院⻑夫人・星崎みゆき役の田中は「とにかく皆さんが素晴らしくて圧倒されて、スクリーンから目が離せないと思います」と予告し、北川演じる夏希に感情移入して号泣したことを報告。そんな北川の撮影時の様子について佐久間が「景子さんは切り替えが凄い」と言うと、北川は「全然重い気持ちにならなかった」とケロリ。森田も「泣く直前までケラケラと喋っていてスタートした瞬間、ウワーと泣かれてカットがかかってまたケラケラとなるタイプ。それが何回も出来るから...本当に怖いなと思った」と証言すると、光石は「女優は怖い」とポツリと呟いて場内爆笑となった。
一方、第 44 回日本アカデミー賞最優秀作品賞『ミッドナイトスワン』で知られる内田監督は「僕は昼に生きる人々よりも、夜に生きる人々に興味を示してしまう。僕のイメージ的には『ミッドナイトスワン』の凪沙(草彅剛)と夏希は、同じ東京の同じ深夜の時間帯に生きている陽の当たらないキャラクターとして描きました」と解説した。
主人公・夏希は“昼は母親、夜はドラッグの売人”という、二つの顔を持つ女性。これにちなんで「自分が“もう一つの顔”を持てるとしたら、どんな顔?」というお題にそれぞれ回答。内田監督はクールさに憧れている事から「非常な顔」、渋谷は人を笑わせる職業に昔から憧れている事から「噺家」、佐久間は「内田監督」と挙げた。
そんな中、北川は「ライブで熱唱」、森田は「歌手」、光石は「ミュージシャン」と歌で自己表現する“もう一つの顔”に憧れている事が判明した。北川は「私は歌がとても苦手で人前で歌うとかもやったことがない。カラオケに行ってもタンバリン担当。お客様の前で歌えて自分を表現出来たら気持ちが良いだろうなあと思って」と解説。劇中には北川の歌唱シーンもあることから、渋谷と佐久間が「物凄い!本当に凄い」「パワーが違う!」と絶賛するも、北川は「あれは技術とかではないから。魂でやっています」と照れながら恐縮していた。
最後に主演の北川は「この映画には親子、家族、友情、色々な愛の形が描かれています。人は一人だけでは出来ない事も誰かを愛したり愛されたりすることで普段湧いてこないような力が湧いてきたりして、できない事が成し遂げられると思いました。愛の力が人間を突き動かしてその先には自分でも思ってもいなかった未来が見えてくる。そんな作品だと思います。この作品を観た後に誰かをギュッと抱きしめたくなったり、自分の大切な人を改めて思い返したり、そんなきっかけになってくれる作品になるのではなないかと思います」と呼び掛けていた。
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配給:松竹 ©2025「ナイトフラワー」製作委員会









