窪塚洋介×松田龍平 W 主演、豊田利晃監督最新作『次元を超える』が、10 月 17 日(金)よりユーロスペース他にて全国順次公開。
孤高の修行者・山中狼介(窪塚洋介)は、危険な宗教家・阿闍梨(千原ジュニア)の家で行方不明になる。一方、謎の暗殺者・新野風(松田龍平)は、狼介の彼女・野々花(芋生 悠)から捜索を依頼される。やがて、狼介と新野は法螺貝に導かれて狼蘇山で対面し、次元を超えて鏡の洞窟で対峙する。過去から現在、そして未来を駆け巡り、日本から地球、さらに宇宙に辿り着いた、彼らが見たものとは・・・?
この度、本作の公開を記念して、窪塚洋介、松田龍平、千原ジュニア、芋生悠、渋川清彦、豊田利晃監督が登壇する、立体音響技術によるリスニング体験が出来る Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)完成披露試写会を実施。
『全員切腹』以来となる、4 年ぶりの豊田監督作品で、孤高の修行者・山中狼介を演じた窪塚は、本作への出演オファーを受けた際の思いを問われると「とうとう完結編ですよね。『SF やりたい SF やりたい』っていうのを豊田さんはずっと言ってたので、『SF?』とは思ってたんですけど。『狼蘇山』シリーズの最後が SF なのかっていう。オファーをしていただいて、本当にやるんだ、完結するんだという思いで受けました」と回想。
『破壊の日』以来 5 年ぶりの豊田監督作品となり、謎の暗殺者・新野風を演じた松田は「脚本を読んで、実際にやってみないと分からないようなシーンがめちゃめちゃ多くて。撮影を楽しみにしてました」と振り返り、これに頷いた窪塚は「『どうなるかな?』っていう。字で書いたら、惑星・ケルマンにどうのとか、宇宙船が飛んでいくとか、書くのは書けるじゃないですか。でもどうなんだろうと思ったよね」と松田と同様に映像のイメージが湧いていなかった様子だった。
また『破壊の日』や『I'M FLASH!』と同じ役名のキャラクターを演じたことについて、松田は「その役がそのままつながっていて。今回のこの映画の前に何作品か新野風っていう役でやっていたんですけど、割とちょこちょこやっていて、がっつりやりたいなと思っていたので、嬉しかったです」と話していた。
『泣き虫しょったんの奇跡』以来となる、7 年ぶりの長編フィクション作品で、久々の長編に挑んだ気持ちを聞かれた豊田監督は「毎年短編映画をずっと作っていたんですけど、『そろそろ長編が見たい』っていう声が大きかったんですよね。なかなか予算がかかるものなので、自分でお金を集めながらいろいろ作った映画なので、それは大変でした。でも、やっぱり長編映画の方が見応えがあるし、多くの観客に届くと思うので、楽しんでもらえたらいいと思います」とコメント。
『ナイン・ソウルズ』以来 22 年ぶりの豊田監督作品で、危険な宗教家・阿闍梨を演じた千原は、現場での久々エピソードとして「『今度映画やんねんけど、ちょっとだけ出てくれへん?手伝うてくれへん?』って(豊田監督から)電話かかって来て、『いいよ』って言って。それで台本送られてきたら、めちゃくちゃ喋ってる。(笑)完全に騙されたなっていう印象ですね」と台詞量の多さに面食らった様子。「現場は久しぶりでしたけど、知った顔がたくさんいて。皆さんに優しくしていただいて、非常に楽しかったです。法螺貝もスタジオ入って練習させてもらいました」と振り返っていた。
『全員切腹』以来 4 年ぶりとなった豊田監督の演出について、狼介の彼女・野々花を演じた芋生は「豊田監督作品は大好きなので、本当に光栄でした。前回、私は顔が全く映っていないので、今回やっと映って嬉しかったです」と頬を緩めて「監督は本当にすごく丁寧に演出してくださるんですよ。台詞の音の響き方とか。客観的に見てこう見えてるよとか、こう聞こえてるよっていうのを、すごく丁寧に教えてくださるので、そこの信頼感もありつつ、本当にこの作品に魂を注いでいるっていうのを傍で見ていて、そういう姿を見るだけで、全部を私も注げるなっていうような気持ちでした」と豊田監督への感謝を語った。
『アンチェイン』以外の豊田監督作品に全て出演しており、田舎の不良・鉄平を演じた渋川は「『ポルノスター』からのジュニアがいることで、すごく懐かしいというか。『ナイン・ソウルズ』と『ポルノスター』でジュニアは一緒だったんですけど、最初の『ポルノスター』で、何も分からないときに初めての映画でジュニアとやったときの感じが戻ってきました。モニターを見たときにすげえなと思いました。顔、すごかったです」と千原の表現に衝撃を受けた様子。「豊田さんとジュニアの関係が見えたというか。すごかったですね」とも称賛していた。
『破壊の日』以来となる 5 年ぶりの松田との共演について、窪塚は「『破壊の日』も、渋谷の東郷神社ですれ違っただけだもんね。なので、共演っていうのは本当に今回が初めてっていう印象で。役者・松田龍平と対峙するっていう楽しさを存分に味わわせてもらって。対峙する前に、夜に別のパーティーとかで対峙しちゃうことの方が多くて(笑)。結構、飲みの場で会ったりしてたので、そっちで知ってるっていう方が多くなってきていた後の現場だったんですよ」とプライベートで交流を深めていたことを紹介。
「豊田監督と龍平が『青い春』をやっていたころに、俺が『ピンポン』をやって、龍平を認識したころの松田龍平が、そこに現れて対峙するっていう。そういうエモい現象に陥ったりしながら、本当に楽しい時間を過ごさせてもらいました。それがフィルムに焼き付いて、いい味が出ているといいなと思っております」と本作の撮影を満足げに振り返った。
一方の松田は「窪塚くんが言ってくれた通り、ちょこちょこ会ってたんですけど、今回はお芝居で、現場で会って、窪塚くんの格好が、ポスターで見た人もいると思うんですけど、めちゃめちゃロン毛で、肌が焼けてて。日焼けしてましたよね。まさに狼介だなって」と窪塚のビジュアルが新鮮だったようで、「なんで日焼けしたんですか?めちゃめちゃ黒かったですよね」と質問。窪塚は山で暮らしている山伏という設定に合わせたアプローチだったことを説明し、松田は「バカンスに行ってたわけじゃなくて?」と笑顔を見せ、窪塚は「バカンスを兼ねて。一石二鳥的な感じで(笑)」とにこやかに返していた。
Dolby Atmos という立体音響技術によるリスニング体験が出来る環境での上映ということで、音へのこだわりを質問された豊田監督は「スピーカーがロッテルダム(第 54 回ロッテルダム国際映画祭)でぶっ飛びまして。意外なところで飛ぶんです。法螺貝の音なんですけど。それぐらいレンジがあるんだと思いました」とコメント。
また、「役者の声も音だし、無音になるシーンとかもあるので。全体で、今回は音響演出の北田雅也さんと一緒に設計しながら作った映画です。ここ、ものすごいので。低音が椅子をびりびりびりびりさせると思うので、いいマッサージになると思います(笑)」と会場の 109 シネマズプレミアム新宿の音響を絶賛していた。
最後にマイクを握った窪塚は「冒頭でも言ったんですけど、豊田版『火の鳥』という感じです。『狼蘇山』シリーズの完結編になるんですけれども、『この世界線の、似てるんだけど違うシチュエーションってどんな感じなんですか?』って監督に聞いたら、『分かんない』っていう返事が来て。それで分かる。つまり、可能性としてのパラレルワールドって無限じゃないですか。言い換えれば、余白がすごく大きな映画で、普段は見慣れていないぐらいの余白を持っている映画だと思うんですよ」とコメント。
「そこを皆さんの想像力で埋めていってもらって。何なら、その前にある 3 作も見ていただいて、自分なりのストーリーだったり、自分なりの解釈だったり、『こいつはこいつの転生なのかな?』とか。『これとこれはこう繋がってるのか』みたいなところも含めて、全体の豊田さんの『狼蘇山』という世界観を堪能していただけたら本望です」と力説していた。
松田は「窪塚くんが言った通りで、ちょっとした閃きと気づきで、可能性は無限大になるんだなっていう映画だなと思いました。楽しんでお帰りください。ありがとうございます」と語り、豊田監督は「この映画は、観客を宇宙の果てまでぶっ飛ばそうと思って作りました。そういう映画になっています。どうかあまり考えるんじゃなくて、立体音響でものすごく良い環境なので、体験してください。今日はどうもありがとうございます」と呼びかけていた。
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製作:豊田組 配給:スターサンズ ©️次元超越体/DIMENSIONS
