
長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第 75 回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞に輝き、同年のアカデミー賞®日本代表として選出、更に第 16 回アジア・フィルムアワード、中国最高賞と言われる第 35 回金鶏奨、第 58回シカゴ国際映画祭他、世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた早川千絵監督。長編 2 作品目となる新作『ルノワール』も、第 78 回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品が決定!ハピネットファントム・スタジオ配給で 6 月 20 日(金)から新宿ピカデリーほか全国公開。
この度、三菱一号館美術館(東京・丸の内)で 5 月 29 日(木)~9 月 7 日(日)まで開催する「オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」(以下「ルノワール×セザンヌ展」)とのコラボレーションが決定いたしました。
不完全な大人たちの孤独や痛みに触れる、11 歳のひと夏。
うれしい、楽しい、寂しい、怖い...そして“哀しい”を知り、少女は大人になる。
子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女のひと夏を描いた映画『ルノワール』。マイペースで想像力豊かな主人公・フキは、事情を抱えた大人たちと触れあう中で、11 歳の小さな体に宿る“うれしい・楽しい”という感情をむくむくと膨らませていくが、時折見せる子供特有の残酷な一面や鋭い視線にどきりとさせられることも。早川監督は、少女が積み重ねていく感情のひだを細やかに描写すると共に、大人たちの人生のままならなさや、人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出した。観客は自分にも覚えのある子どもならではのひりひりとした感情と、今の自分に似た大人たちの孤独や痛みに共感し、激しく心を揺さぶられるだろう。
この度、三菱一号館美術館で開催される「ルノワール×セザンヌ展」との相互割引が決定した。本展は、フランス、パリのオランジュリー美術館が、ルノワールとセザンヌという二人の印象派・ポスト印象派の画家に、初めて同時にフォーカスし、企画・監修をした世界巡回展。ルノワールの代表作《ピアノの前の少女たち》やセザンヌの代表作《画家の息子の肖像》をはじめとし、2 人の巨匠による肖像画、静物画、風景画、そして、2人から影響を受けたピカソを加え約 52 点の作品から、モダン・アートの原点を探る。また、この世界巡回展はオランジュリー美術館とオルセー美術館の協力により、ミラノ、マルティニ(スイス)、香港を経て日本へもたらされ、三菱一号館美術館が日本唯一の会場となる。
本作のタイトル“ルノワール”と聞いて、画家のエール・オーギュスト・ルノワールを思い浮かべる人も少なくないだろう。劇中には、ルノワールの代表作のひとつである「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」(チューリッヒ美術館所蔵)の絵画が登場する。タイトルについて、早川監督は「理由づけや説明といったものからなるべく離れる形で作りたいという思いがありました。“80 年代の日本が舞台の映画”というイメージとかけ離れたタイトルなのが単純に面白いと思ったんです」と明かす。
うれしい、楽しい、寂しい、怖い...はちきれんばかりの感情を抱えた 11 歳の少女・フキは、“哀しみ”を知って確かに大人に近づいていく。幾重にも変化する少女の表情は、私たちが過去に置いてきた、遠い日の宝石のような記憶を呼び覚ましてくれることだろう。ぜひ、映画と展覧会、感性に触れる体験をご堪能いただきたい!
なお、13 日から開催される第 78 回カンヌ国際映画祭での本作のワールドプレミア上映は、メイン会場のパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレフランスで現地時間 5 月 17 日(土)15:30 頃(日本時間 22:30 頃)から実施されることが決定した。現地には、鈴木をはじめ、早川監督、石田ひかり、リリー・フランキーが参加予定。パルム・ドールが発表される授賞式は 24 日(土)に行われる。
名優たちとの共演を経て、12 歳でカンヌ主演デビューを果たす鈴木が主演女優賞に輝いた場合、かつて主演男優賞を獲得した『誰も知らない』(是枝裕和監督作)の柳楽優弥(当時 14 歳)より若い《最年少受賞》となり、併せて《日本人初の主演女優賞》への期待も高まる。
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