新作を発表するたびに異なるテーマで観る者を圧倒してきたフランスの名匠フランソワ・オゾン。これまでオゾンが幾度も描いてきた“死”をテーマに、その集大成ともいうべき新作映画『すべてうまくいきますように』が 2月 3 日(金)より全国公開。
近しい人が安楽死を望んだら?
――この映画を“自分ならどうする?”と考える機会にしてほしい
このたび、本作の公開を記念してフランソワ・オゾン監督のインタビュー映像が解禁。『まぼろし』(00)や『スイミングプール』(03)などで共同脚本を手掛け、オゾンとは友人関係でもあった原作者のエマニュエル・ベルンエイム。そんな原作者の死を通して映画化に至った経緯や、“安楽死”を描いたことの意義などについて語った。
はじめに映画製作の経緯について聞かれると、原作者エマニュエル・ベルンエイムとは親しい間柄だったことを明かし、「出版された時に本人から映画化を打診されたが正直に言うと当時は乗り気ではなかった。なぜなら私とは遠い話だし、彼女のあまりに個人的なストーリーだった」ため映画化を断ったが、彼女の死をきっかけに「作品の理解も深まり、エマニュエルのために彼女の経験を共有したかった。」と考えが大きく変わったことを振り返った。さらに時間を置いたことで、ソフィー・マルソーを起用する絶好のチャンスも手にすることができたと語り、「大好きな俳優だし、彼女なら主人公にふさわしい」と太鼓判を押した。
また、本作でも描かれていた安楽死の課題についてはフランスをはじめヨーロッパにおける課題の多さを認識しつつも、「映画では非難しない。善悪は判断しないから観客が自由に考えればいい。結局のところ、映画は理解する手助けにすぎない。」と述べた。
最後に、観客に伝えたいメッセージは「ない」と答えたが、その真意として「私は機会を提供するだけだ。強い感情と複雑な感動を共有して各自が自分で考える機会にしてほしい。“自分ならどうする?”とね。」と“安楽死”の選択は実は身近な話であり、己に問うきっかけを作品に託すことで、“死”をテーマにした作品を生み出してきた監督としての矜持を見せた。
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