第 20 回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルでグランプリを受賞し、一般に想起されがちな、これまでのモンゴル映画のイメージを鮮やかに覆した『THE SALES GIRL』(英題)を『セールス・ガールの考現学』の邦題で 4 月 28 日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次にて公開することが決定、併せてポスタービジュアルが解禁。
モンゴルの都市部で生きる一人の女性の成長譚を、アダルトグッズ・ショップを舞台にユーモアたっぷりに軽やかに描き、第 20 回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルで、日本や韓国、タイといった“映画強豪国”からの出品作をおさえ、見事グランプリを受賞した作品が、いよいよ待望の日本正式劇場公開となる。
モンゴル・ウランバートルで家族と暮らし、大学で原子工学を学ぶサロールは、代わり映えのない毎日を送っていたが、ひょんなことから、大人のオモチャが所狭しと並ぶ、ビルの半地下にある怪しげなアダルトグッズ・ショップでアルバイトをすることになる。店を訪れるさまざまなタイプのお客たちと接する日々の中で、人生経験豊富な女性ショップ・オーナーに導かれ、自分らしく生きることを学んでいく...。
ワールドプレミア上映となった第 17 回大阪アジアン映画祭では、コンペティション部門に出品され、上映後には SNS 上で、「ダントツの面白さ」「モンゴル映画の印象が変わった!」「音楽の入り方、めっちゃセンスを感じた」といった絶賛の声が並んだ。また、300 人のオーディションの中から選ばれ、本作が映画デビューにして映画初主演となったバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルが、「最も輝きを放っている出演者」に贈られる薬師真珠賞を受賞。彼女は、海外プレスからも、「完璧。思春期の女の子から大人の女性へと変わりゆく狭間で揺れ動く、繊細な人間の感情を見事に表現している。」(asianmoviepulse)、「大きなスクリーンの中で、花が咲くのを見るようだった」(lilithia)と絶賛されている。
そして主人公サロールと不思議な友情関係を築き、人生の酸いも甘いも噛み分け、サロールに金言を授けるキーパーソンとなるオーナー・カティアを演じたエンフトール・オィドブジャムツは、実に 30 年ぶりの銀幕復帰となったモンゴルを代表するベテラン俳優。監督は、ジャンチブドルジ・センゲドルジ。初期代表作である「オキシゲン」(10)が第 1 回なら国際映画祭に入選、以後も「Lovers」(16)でモンゴル版アカデミー賞の最優秀監督賞を受賞、「Life」(18)がウランバートル国際映画祭で最優秀長編作品賞を受賞するなど、現代のモンゴル映画界を代表する俊英監督。本作では、監督のほかに脚本・プロデューサーも務めている。さらに、2022 年のウランバートルのラジオチャート年間トップ 20 入りも果たした、モンゴルが誇る人気シティポップ・バンド マグノリアンのヒット曲が映画全編を彩り、“新しいモンゴル映画”を印象付けるのに一役買っている。
邦題となった「考現学」とは、社会現象を定点観測で調査・研究し、世相や風俗を分析しようとするもの。主人公サロールはアダルトグッズ・ショップで働くことで、そこに集うオーナーやお客たちと接し、さながらフィールドワークのような日々を過ごすことで、自らの未来を主体的に歩んでいくようになる。
解禁となったポスタービジュアルは、大人のオモチャが無造作に置かれた暗がりのショップ内で、主人公サロールがコスチューム姿ながら物憂げな表情で佇んでいる印象的な姿に、「人生なんか、怖くない。」というキャッチコピーが映えるものになった。
----------------------------
©2021 Sengedorj Tushee, Nomadia Pictures