山﨑樹一郎監督の新作『やまぶき』が11月5日(土)に渋谷ユーロスペース、ほか全国順次公開されることが決定。
陽の当たらない場所に咲く「山吹」から着想
資本主義と家父長制社会に潜む悲劇と、その果てにある希望
かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山県真庭市に流れ着き、今はヴェトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と二人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。二人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める−−。陽の当たりづらい場所にしか咲かぬ野生の花「山吹」をモチーフに、資本主義と家父長制社会の歪みに潜む悲劇と希望を描きだす群像劇だ。政治的な主題を声高ではなく繊細に描く作風が評価され、今年5月に行われたカンヌ国際映画祭のACID部門に日本映画として初めて選出される快挙を果たしたほか、多数の海外映画祭に招待されている。
山間で農業と映画製作を続ける山﨑樹一郎監督の長編第三作は
地方に生きる人々の慎ましい抵抗を国際的な視座で描く
本作は、岡山県真庭市の山間で農業に携わりながら、地方に生きる人々に光をあてて映画製作を続ける山﨑樹一郎監督の長編第3作。長編デビュー作『ひかりのおと』(11)では、故郷・岡山に戻り酪農を継ぐ若者の苦悩と葛藤を描き、『新しき民』(15)では江戸時代の農民一揆を題材とし時代劇に挑戦した。『やまぶき』は、再び地元でロケをし初めて16ミリフィルムで撮影に挑んだ野心作だ。
チャンス役を演じるのは、イギリスで演劇を学び、今回初めての日本映画出演となる韓国人俳優のカン・ユンス。山吹役は、『サマーフィルムにのって』(21)や「セイコグラム~転生したら戦時中の女学生だった件~」(NHK/22)など話題作への出演が相次ぐ演技派俳優・祷キララ。その傍に、川瀬陽太、和田光沙、三浦誠己、松浦祐也、青木崇高らの実力派俳優たちが集結し、田舎町に暮らす人々のほとばしる生を体現している。
本作は、フランスのSurvivance(シュルヴィヴァンス)との国際共同製作によって完成された。『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』(16)でアヌシー国際アニメーション映画祭で2冠を得たセバスチャン・ローデンバックがアニメーションパートを、オリヴィエ・ドゥパリが音楽を担当。また、フランソワ・トリュフォーやモーリス・ピアラ、フィリップ・ガレルなど巨匠監督の作品を手がけた、フランス映画の伝説的な編集マンであるヤン・ドゥデが編集協力をしている。
主演・祷キララの意思の強さが表れた眼差しが印象的なポスタービジュアルが解禁
この度解禁されたポスタービジュアルは、砂漠らしき場所を背景に、山吹役・祷キララがこちらを射抜くような強い眼差しを向ける姿が映し出され、「太陽をみんなで一緒に見るひまわりじゃなくていい」という山吹の象徴的な台詞がキャッチコピーとして配置されている。右側にはヤマブキの花をイメージした蛍光オレンジのタイトルロゴが大きく配置され、シンプルながらインパクトのあるビジュアルに仕上がった。
『やまぶき』は11月5日(土)より渋谷ユーロスペース、11月12日(土)より大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館、ほか全国順次公開。
<ストーリー>
かつて韓国の乗馬競技のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を背負った。岡山に流れ着き、今はヴェトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方で、刑事の父と二人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。二人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める−−。
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