若者から絶大な支持を得る新進気鋭作家・三秋縋のベストセラー小説を林遣都×小松菜奈のW主演で映画化した『恋する寄生虫』が 11 月 12 日(金)より全国公開。
初共演にして W 主演を務めた林遣都と小松菜奈、柿本ケンサク監督の 3 名が登壇し、完成披露試写会の舞台挨拶を行った。
完成した映画について、林さんは「撮影中は“虫”の映像だったり、CG の部分がどういう仕上がりになるのかわからない部分もたくさんあったんですが、出来上がった映像を見て、柿本さんの抜群のセンス、演出に感動しました。ラブストーリーの部分だけじゃなく、映像美、音楽などいろんな面で楽しめる作品になったなと思います」と語る。小松さんも「脚本の段階で、CG の部分とかどうなるかわからず、完成した時、どんなふうになっているか楽しみでした。私たちの役柄は潔癖症と視線恐怖症という、見えないものへの苦しみを抱えているんですけど、柿本さんの手で、それを体感できる――CG の部分でその人の状況を感じられるのが新しいし、それがポップに描かれている部分もあり、気持がぶつかり合う繊細な美しさ、冒頭の遣都さんと CG の映像が美しくて、見入っちゃいました」と興奮した面持ちで語る。
柿本監督は「原案の小説は小説として完成されているものだったので、普段、長編のドラマを作っていない僕がそれをどう表現したり、違う部分をアップデートしていくか? この作品は大事な部分が“見えない”ので、見えないものをどうビジュアル化し、多くの人に届けるか?入念に考えて挑みました」とふり返る。林さんと小松さんは、意外にもこれが初共演。互いの印象やお芝居を通して感じたことを尋ねると、林さんは「楽しかったですね」と微笑み「お会いするまで、勝手にクールなイメージを持っていたんですけど、接しやすくて、周りの人に愛される方で、撮影中の菜奈ちゃんのことを思い出すと、いつもスタッフと談笑しているイメージが浮かんできます。(クールな佇まいで舞台挨拶に立っている)いまの姿と現場で人と接している姿にギャップがあって、素敵だなと思います。お芝居に関しても、何の遠慮もなく、相談しながら関係性を作っていくことができて心強かったです」と小松さんを称えた。
一方、小松さんは「現場が始まる前に、『どうやって距離を縮めていこうか?』と考えて、あだ名をつけよう! と思ったんです。そのあだ名が“ケント・デリカット”で...(笑)。それを伝えたら『それ、もう別人じゃん!』って笑ってて、でも『負けない!』と思ってその後もそう呼んでたら『なんか、もうクセになってきたかも...』と言ってくれて、そう見えなかったけど、嬉しかったんだなと(笑)。いや、嬉しかったのかわかんないですけど(笑)、喜んでもらえたのかなと。距離の縮め方が小学生男子みたいになっちゃったけど、現場ではお芝居に対する姿勢やアプローチがすごく真面目で、私が戸惑ったり迷ったとき、どう言えばいいのか? というのも全部話せる人でした。遣都さんが家に持ち帰って、それを『考えたんだけど、こう思うんだよね』と言ってくれたりして、優しいなと。遣都さんがいて救われましたし、色々助けていただきました」と感謝の思いを口にした。
そんな 2 人を、柿本監督も大いに頼りにしていたよう。「普段、僕がやっている映像は短いのが多いんですが、映画は使う筋肉が全然違って、100 メートル走とマラソンくらい違っていて、初日から面食らいました。圧倒的に現場での経験が足りない部分があるのをわかって、2 人を先生のように思って『教えてください!』と現場で勉強させてもらいました」と明かした。
さらに、タイトルにちなんで主演の 2 人がいまハマっている“恋する〇〇”は何か?と尋ねられると、林さんは「『恋するストレッチ』です」と告白。「いま舞台をやっていて、階段の昇り降りがあるんですが、30 歳にして初めて痛みが膝に来まして...(苦笑)。共演させていただいている演劇界の神様・浅野和之さんに“神様のストレッチ”を教わりました。それをやると痛みがなくなって、体の調子がすこぶる良くなって、寝る前も家に帰ってもやるようにしています。そうしたら、伸ばし過ぎて痛くなってしまって...(笑)」と明かす。
一方、小松さんは「私は『恋するぬりえ』です!」とニッコリ。「“大人のぬりえ”というのがあって、私は色を塗るのがすごく好きなんですが“大人のぬりえ”という響きがいいなと(笑)。世界の名画とかのぬりえがあって、ゴッホやモネの作品を自分で想像しながら、ぬりえするのにハマってて、無心になれるので 2 時間とか 3 時間やりながら、いい時間だなとハマってます」と意外な趣味を明かしてくれた。
舞台挨拶の最後に、小松さんは本作がコロナ禍の直前に撮影されたことに触れ「コロナという得体のしれないもの、そういう“何か”が来るのを感じながら撮影を終えました。最初に脚本でマスク越しのキスのシーンを読んだ時、その頃はまだマスクをしない時代だったので『受け入れてもらえるのかな?』と違和感があったけど、いまとなってはありえないことでなくなってきて、不思議ですが、いまの時代にそういう作品を残すことができてよかったなと思います。2 人が惹かれ合っていく姿――切なくもいとおしく映画の中で生きているので、観ていただけたら嬉しいです」と語る。
林さんは「いま、人と人の距離、物理的な距離だけでなく、心の面でも遠くなってしまいがちな世の中ですが、人それぞれの世界があって、誰しも必ず身近に小さな幸せが散りばめられているし、誰しも大切な人がいる。それは動物でも、モノでも自然でもいいんですけど、そこに目を向けること、見失いがちなことに気づくことが大切なんじゃないか? そんなことを考えながら観ていただけたらと思います」と呼びかけ、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
©2021「恋する寄生虫」製作委員会