ベネディクト・カンバーバッチ主演最新作『クーリエ:最高機密の運び屋』が、9 月 23 日(木・祝)より全国公開。このたび、スパイツールを収めた場面写真を大公開!
このたび公開となる場面写真は、60 年代の東西冷戦下で実際に使われていたものを含むスパイツールの数々。スパイ映画の醍醐味の一つとして、諜報活動に使用するスパイ道具やガジェットを思い浮かべる人も少なくないだろう。先に断っておくが本作には心躍るようなスパイツールはほとんど登場しない。むしろ、こんなものが実際にあったのかという得も言われぬ恐怖を感じたり、60 年代当時の技術力と創造力に関心を覚えるようなツールの数々だ。その一部を紹介していこう。
◆盗聴防止装置(通称:金魚鉢)
広々とした部屋の中のど真ん中に床からも分離された密閉空間がある。これは在モスクワ米国大使館内に設置された盗聴防止装置。壁や床、天井から完全に分離した空間を作り出し、音声を拾われる(盗聴される)ことを防止する役割を果たす。その見た目からか、通称「金魚鉢」と呼ばれ、スパイマニアの中では有名らしい。劇中ではある極秘計画を伝える際に使用されている。現在の在モスクワ日本大使館(2007 年完成)には、より大きな盗聴防止装置があると言われている。
◆テレックス
今は知らない人も多いかもしれないが、2000年代前半頃まで商業通信手段として主に用
いられていた機器。暗号文を送ることも可能だったことから、本作では機密情報を送信する機器として登場する。5 つ穴の「穿孔テープ」(せんこうテープ)をカードリーダーに読み込ませると文章が出力されるという代物。ちなみに、テレックスはファックスの登場で急速に廃れ、現在では一部の軍用通信で残っているのみだそうだ。
◆超小型カメラ(ミノックス)
デジタル社会の現代においては、直径 5cm 未満の超小型カメラも数多くあるだろうが、アナログ時代に最高峰といわれていたのがこのミノックスだ。劇中ではソ連側の協力者であるペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)が機密情報を写真に収めて、アメリカ側に渡すために使用されている。その精巧な作りと素早く撮れる実用性から、当時のスパイが使用していたことも頷ける逸品だ。
◆仕掛けテーブル
一見ただのテーブルに見えて、実は引き出しの側面にさらに隠し引き出しがあるという仕組み。いかにも機密情報を扱うスパイっぽい代物だが、こんなところに大事な情報を仕舞っておいて大丈夫なのか?という疑問は多少残る。あくまで推測ではあるが、金庫のようなたいそうな物を置いておく方が、スパイにとってはかえってリスクが高いということなのかもしれない。
◆筆談ボード
予告編で「常に盗聴に警戒を」というセリフが登場するように、劇中では筆談による会話や、大音量の音楽を流し耳元で会話するシーンなどが展開される。ファンシーな星マークのシールで飾られた筆談ボードと、緊張感あふれる場面とのギャップもまた面白い。実はこのシーン、重要な局面へと繋がっていくのだが、その一連の流れは平凡なビジネスマンだったグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)がまるで本物のスパイのように見える必見のシーンだ。
◆タイピン
CIA のヘレン(レイチェル・ブロズナハン)からグレヴィル・ウィンに渡されるネクタイピン。これを身に着けることで、ソ連側の協力者オレグ・ペンコフスキーにとっての「クーリエ(運び屋)」としての目印となるわけだ。しかしスパイ素人のウィンはこのタイピンをまじまじと見定め、「毒矢を出せるとか?」と真顔で質問する。当時のスパイのイメージとウィンの愛嬌ある人柄が窺い知れる一コマだ。
60 年代当時に使用されていたスパイツールについて、徹底的なリサーチをおこなったというドミニク・クック監督は、「超小型カメラ(ミノックス)は実際に使われていたんだ。時代を先駆けるような高性能なカメラで、あんなに小さいのに本当に良質なんだ」と語る。さらに、盗聴防止装置についても当時存在していたもので、撮影現場では“バブル”と呼んでいたそうだ。「最初に使われていたのはモスクワの米大使館で、盗聴器がたくさん仕掛けられていて秘密の会議ができないために作られた。ただ、写真資料として残っていなかったので、想像力を働かせて映画オリジナルのデザインで作ったんだ」と語っている。リアルなスパイツールにも要注目だ!
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