賞レースを席捲する数多くの名作を世に送り出してきたサーチライト・ピクチャーズが贈る最新作『ノマドランド』が絶賛公開中。
企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバタ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、〈現代のノマド=放浪の民〉として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく―。
本作は、アカデミー賞の前哨戦のひとつである第78回ゴールデン・グローブ賞で、作品賞(ドラマ部門)、監督賞(映画部門)の主要2部門で受賞!クロエ・ジャオは初の監督賞ノミネートにして、初受賞の快挙を果たしました!さらに、本年度アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、撮影賞の主要6部門にノミネート、第74回英国アカデミー賞でも作品賞、主演女優賞、監督賞、撮影賞の最多4部門で受賞するなど圧倒的な注目を集めています!
本作のサウンドデザインを務めたのは、『ROMA/ローマ』、『パンズ・ラビリンス』の名匠!オスカー作品を手掛けたセルジオ・ディアスらが本作の映画音響の世界を解説する特別映像が到着!
本作のサウンドデザインを務めたのは、2019年にアカデミー賞で監督賞を受賞したアルフォンソ・キュアロンによる『ROMA/ローマ』や、2018年に『シェイプ・オブ・ウォーター』で、同じくアカデミー賞監督を受賞したギレルモ・デル・トロによる『パンズ・ラビリンス』、さらには2016年『レヴェナント 蘇えりし者』、2015年『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥによる『バベル』など数々の名監督による名作を手掛けてきたメキシコ生まれの名匠セルジオ・ディアスだ。
劇伴が部分的に使用され、それ以外のパートでは録音された現場の音声でシーンを魅せていく本作において、サウンドデザインはかなり重要なポジション。そこでセルジオに白羽の矢を立てたクロエ・ジャオ監督だが「ファーンが本当の自分に出会う場所に鳴っている音像に忠実に劇伴をミックスして欲しかった。さらに、音の響きに観客の感受性を制限するような”過剰な演出”を入れないことをお願いしました。創造的に、実験的に音を鳴らしながら、同時にうそのない、正直な音でもありたいのです」と音の演出にかなりのこだわりをみせていたことを明かしている。
そんなジャオ監督の想いを受けたセルジオは「『ノマドランド』が描いているのは、ずばり”心のつながり”だ。それを音風景にいかに反映させるか、それが音響の最も重要な課題だった」と製作当時を振り返る。チームワークを重要視するジャオ監督の撮影はどの作品も少数精鋭で進行され、本作でも撮影クルーはたったの23名。録音技師と演者の距離が心理的、そして物理的にも近くなるため、他の作品とは一線を画したより臨場感のあるリアルな音が録音されるが、セルジオらはその立体感のある音に効果音やサウンドデザインを施すことで、さらに真実味を加えていったそう。鑑賞者から”まるでドキュメンタリーを観ているようだ”と評価されるほどリアルなシーンが切り取られている本作だが、セルジオは「画面に映らない人や物の何層もの音がシーンを包み込み、奥行きと没入感を与えている。だからフィクションにもノンフィクションにも感じるんだ」とサウンドデザインによる効果に自信を覗かせている。最後に「音響デザインとは”思いやり”がすべてだ。
音でメッセージを伝え、観客の感情に強く訴えかける」と持論を語っているセルジオだが、本映像で映し出される劇中シーンからも、効果音ひとつひとつが心地よく音を奏で、
ファーンの生活感を印象的に彩る様子が見て取れ、セルジオがノマドたちの生活をリスペクトしながら音響をデザインしたことが窺える。その完成形を是非とも劇場の良質な音響環境でお楽しみいただきたい!
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