吉永小百合主演映画『いのちの停車場』のエンディングテーマをギタリスト、村治佳織が担当

吉永小百合主演映画『いのちの停車場』のエンディングテーマをギタリスト、村治佳織が担当

5月21日公開の映画『いのちの停車場』のエンディングテーマ作曲をギタリスト村治佳織が務めることが発表された。映画は、南杏子の『いのちの停車場』(幻冬舎)を原作とした心揺さぶるヒューマン医療ドラマ。主演の吉永小百合が初めての医師役をつとめ、松坂桃李、広瀬すず、石田ゆり子、田中泯、西田敏行、他、日本映画界を象徴する錚々たるキャストが集結した大作映画。

 主演の吉永と村治は、吉永のライフワークでもある原爆詩の朗読CDに村治のギター演奏をBGMとして使用したことから交流をスタートさせ、親交を深めていった。そして、吉永が主演・プロデュースを務めた2014年の映画『ふしぎな岬の物語』ではメインテーマ「望郷」の演奏を村治が担当し、それは同時に2013年に大病で休養を余儀なくされた村治にとって復帰の舞台ともなった。その縁もあり今回、映画の製作総指揮を執る岡田裕介東映グループ会長が村治に直接作曲をオファーした。村治は初となる作曲での楽曲提供に挑戦し、岡田会長の示した「人生」というテーマを見事に表現、映画ラストの繊細なメッセージを聞く者の心に訴えかける名曲が誕生した。

 村治作曲のデモに心躍らせた岡田会長は、「エンディングとしては歌詞のない女声ヴォーカリーズを採用し、さらにそれに歌詞を付けた楽曲を製作できないか」と考え、映画のテーマである “かけがえのないひとつひとつの命”を鼓舞する応援歌という位置づけでもう1曲の楽曲を製作することが決定した。
 その応援歌の作詞を務めたのは、名シンガーソングライターの小椋佳。小椋は岡田会長とは旧縁であり、俳優であった岡田会長が小椋のファースト・アルバム「青春~砂漠の少年」のジャケット写真とナレーションを務めた際、そのジャケット写真が当時顔出しをしていなかった小椋の肖像だと誤解されて話題を呼んだ逸話もある。敬愛する小椋佳に作詞を依頼しようとしていた矢先、2020年11月18日、岡田会長は急逝。それは岡田会長が村治のデモを聞いた、たった5日後のことであった。
映画『いのちの停車場』は5月21日全国公開。オリジナル・サウンドトラックは5月19日に発売となる。

<村治佳織 コメント>
2014年の、吉永小百合さん初プロデュース映画『ふしぎな岬の物語』への参加を通して岡田裕介会長との出会いの機会をいただきました。「今回の映画は、作曲で参加してほしい」と昨年初夏に会長より伺いました。エンディングテーマというスケールの大きさを背負い、考え込んでしまい、なかなかメロディが浮かんでこなかった時に、「映画の内容を音楽で表そうとするのではなく、あなた自身の経験で感じた不安、その先の希望、見えた青空、やっと登った頂上からの絶景、などを頭に置いて書いてみたらどうか」、と会長よりアドヴァイスをいただき、随分と気持ちが和らぎ、程なくして曲の元となるメロディを完成させることができました。メロディを作る際には、2013年に私が大病を経験したときに、いつも近くで支えてくださった小百合さんへの感謝の思いも、常に心の柱としておりました。
いよいよあと少しで音楽も完成というところで会長の突然のご逝去。直前まで音楽のことでご連絡のやりとりをしていたので、今でも、天に召されてしまったことが信じられませんし、日を追うごとに、もういらっしゃらないのだという哀しみが大きくなっています。レコーディングの時にも、ずっと会長のことが頭にありました。
この曲の存在が私にとって、命について想う、まさしく“いのちの停車場”となりました。 成島組に再び参加させていただき、心より御礼申し上げます。そして多くの方々にこの映画をご覧いただければと切に願っております。

<小椋佳 コメント>
年始早々、本映画『いのちの停車場』に寄り添う歌の作詞のご依頼を受けました。本作の製作総指揮を執っていた岡田裕介氏とは映画『動乱』をはじめ数々の作品を通じての親しい仲であり、突然の別れに、驚きと無念さを感じております。今回の『いのちの停車場』は安楽死がモチーフであり、実に難事業。安楽死を施す行為とは、ターミナルケアの帰結として、その痛み或いはすでに無意味な人生からの解放なのかそれとも単に罪深い殺人なのか極めて困難な問題です。この映画でも安楽死は是か否かの問いについて解答を提供してはいません。むしろ観客の皆さんならどう考えるかと問いかけている映画ということが言えるでしょう。兎に角詩を捻り出すのに数日かかってしまいました。私としては「いのちの停車場」を、人生の終点を目的地とするバスを待つ間に、一服するか一 息ついて、ひと時「生」について考えを巡らせる場と捉え言葉を紡いでみました。悩んだ末に歌のタイトルも「いのちの停車場」そのもの とさせていただきました。この歌が映画の深みを増す一助となることを祈りつつ。

(C)2021「いのちの停車場」製作委員会

最終更新日
2021-03-02 08:00:00
提供
映画の時間編集部

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