『クロウ/飛翔伝説』、『アイ、ロボット』など近未来 SF 映画でその名を知られるエジプト出身の監督、アレックス・プロヤスのデビュー作にして最高傑作との呼声が高い『スピリッツ・オブ・ジ・エア』。初公開時オーストラリア・アカデミー賞の最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされるなど高評価を得た本作。日本でも1990年開催の第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映され、審査員特別賞を受賞。翌年には日本でも劇場公開され、レイトショーで 12週間のロングランとなるヒットを記録するも、その後長年に渡って観る事が難しい<失われた作品>として存在感を高めてきた。2020年2月、監督自身の手によるデジタル・リマスター版として 30年の時を越えスクリーンに帰ってくる。
赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。そこに住む足の不自由な兄フェリックスはこの場所ではないどこかへ飛び立とうと、飛行機づくりに明け暮れている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは死んだ父の墓を守ることに執着している。茫洋であるのに隔離された 2人だけの世界に、スミスと名乗る奇妙な逃亡者が現れるが…。
この度解禁された予告編は、巨大な十字架が立ち並ぶ墓地や、地面に突き刺さった廃車がそびえ立つ異様な景色の中を、ゆっくりと人影が横切るシーンから始まる。突如現れた謎めいた男を前に取り乱すフェリックスとベティ。2人だけの静かな日常は一変していく様子が伺える。冒頭から流れる音楽からは哀愁が漂い、荒廃した近未来を想起させる美術と衣裳によって独特の世界へと観るものを誘う仕上がりとなっている。抜け出すことの出来ない荒野の中心で、それぞれの思いを秘めた男女3人が交わる時、その先にあるのは希望の光かそれとも絶望なのか・・。
本作は『荒野の千鳥足』の舞台となり、『マッドマックス2』や『プリシラ』の撮影地でもある豪州ブロークン・ヒルにて撮影され、登場人物はたった 3人のみ。また予告編でも流れる、心にこびりつくような印象的なサウンドトラックは、エンニオ・モリコーネやアンジェロ・バダラメンティ、さらにはミニマルミュージックで有名なフィリップ・グラスを想起させる仕上がりとなっている。
また、本作の前売り券は 11/22(金)より公開劇場の窓口とオンラインにて発売される。数量限定の特典にはポスタービジュアルにも使用さいる美しいオープニングシーンを切り取った B4 サイズのポスタ-と紙飛行機キットが一体化した「飛行ポスター」が付属される。価格は、1400円税込み。フェリックスの思いを乗せた紙飛行機を、空の彼方に飛ばしてみてはいかがだろうか。多くのファンが熱望したアレックス・プロヤス監督の幻の第1作目。スクリーンで目の当たりにできる貴重なこの機会、是非劇場でご覧いただきたい。
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『スピリッツ・オブ・ジ・エア』2月8日(土)より新宿シネマカリテ他全国順次公開
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