2009年公開時、ファンの熱狂的な支持を得たプロジェクト開始から10年…伝説の第1作と、その直接の続編となる第2作を合わせた『センコロール コネクト』が、新たに私たちの前に姿を現す。緻密に組み上げられたビジュアルセンス、繊細さと凶暴さを併せ持った縦横無尽なアニメーション、そして更にスケールアップし、謎が謎を呼ぶ魅惑的な世界観。
前作に続き、音楽は全編 ryo(supercell) が手掛けた。6月29日の公開当日には音楽が全編 ryo(supercell)による約6 年ぶりの新曲が主題歌と発表され、大きな話題となりました。
そしてこの度9月20日より開催中のアニメフィルムフェスティバル東京2019に「センコロール コネクト」の上映&舞台挨拶を開催!
舞台挨拶には、デジタル声優アイドルグループ・22/7のメンバー、倉岡水巴
がセンコのぬいぐるみを抱えて登場。「先週、パッケージ版の作業がようやく終わったばかり」という宇木監督とともに、イベントがスタートした。
まず最初に話題に上ったのは、宇木作品の大ファンだと公言する倉岡が、宇木監督を知ったきっかけについて。「学生の頃に『つり球』を観て、大好きになりました。『つり球』はキャラクターがすごく魅力的で、いったいどんな方が(キャラクターを)描かれているんだろうと思って調べたら、それが宇木監督で。それ以来の大ファンなんです」と話す倉岡を前に、宇木監督は恐縮しきり。さらに、『つり球』Blu-rayの全巻購入特典だった収納ボックスが「どうしても欲しかった」という倉岡は、母親に『つり球』を全巻買ってもらう代わりに、「テストで5教科480点以上」を取ろうと猛勉強したというエピソードを披露。「宇木監督のイラストが本当に素敵で。買ってもらった『つり球』は今でも宝物で、上京の際にも持ってきました」(倉岡)
続いては、そんな倉岡から宇木監督へ、熱烈なファンならではの視点から質問が投げかけられる展開に。まず最初の質問は『センコロール』に登場するクリーチャーたちの名前の由来について。「センコの名前は、ワンコみたいな可愛らしい名前にしたいという理由で、名づけられたとインタビューで答えていらっしゃいましたが......」と振られるが、肝心の宇木監督はすっかりそのことを忘れていた様子。苦笑いを浮かべながら、「名前を決めるのは、わりと悩んでしまいますね。とはいえ、名前を決めないと話がなかなか作りにくい。なので、仮で名前をつけておくんですが、(映画を作っているうちに)わりと馴染んでしまって、そのままになってしまうことが多いです」と話す。『センコロール2』に登場した「カニ」は、まさにそうしてつけられた名前だと言い、また「ハンペン」は見た目から呼び名が来ていると明かした。「劇中にはナンバリングで呼んでいる人たちも出てくるんですが、自分が持っているクリーチャーの中でも、気に入っているヤツに対しては個別に名前をつけている、という設定なんです」(宇木)
倉岡からの2つ目の質問は「センコには痛覚はありますか? また映画を観ていると、感情っぽいものを出す場面もあるのですが、どの程度、感情があるんでしょうか?」。それに対し宇木監督は「攻撃されるときに逃げたりもするので、痛覚はありますね。ただ感情は、どうなんでしょう? あるような、ないような......」と言葉を濁した。『センコロール』の世界は、まだまだ謎が深いようだ。
そこから話題は、すでに制作が発表されている『センコロール3』へ。倉岡が「センコちゃんがどこから来たのか。一体何者なのか、というところが一番気になります」と話すと、宇木監督は「(期待に応えられるように)頑張りたいと思います」と苦笑。また、現在の進捗状況を聞かれると、「さっきも少しお話ししたんですが、つい最近までパッケージの作業をしていたので、まだまったく何もできていない感じです」と、内幕を暴露。とはいえ「来年からはシナリオやコンテを始めて、なるべく早く、みなさんにお見せできるように頑張りたいです」と話し、次作への期待を盛り上げた。
イベント中でもたびたび話題に上った、Blu-ray版は10月23日に発売予定。完全生産限定版には、宇木監督曰く「『センコロール』の1作目のちょっと前、『センコロール0.98』くらいの時期を舞台にした」という、20ページの描き下ろしコミックが付属。そのほかにも『センコロール2』の絵コンテを一部収録したほか、倉岡がナレーションを担当した『センコロールコネクト』公開記念特番など、貴重な映像もあわせて収録される。
最後に、これから映画を観る観客に向けて、倉岡は「宇木監督が描く空や海の表現がすごく好きなんです。『2』の冒頭は、そんな宇木監督ならではの鮮やかな空と海のシーンからスタートので、ぜひそこを見逃さないでください」と、本作の魅力について言及。一方の宇木監督は「(個人制作だった1作目とは違って)『2』は、制作面でアニメスタジオに
入ってもらったり、作り方が結構、違っています。そうした技術的な部分も観ていただけると嬉しいかな、と思います」とアピールし、なごやかな雰囲気のうちにイベントは幕を閉じた。
©宇木敦哉/アニプレックス ©2019 宇木敦哉/アニプレックス