車炎上に襲撃…あわや公開中止!『パドマーワト 女神の誕生』インド最大級の大作に起こったインドならではのトラブルとは?

車炎上に襲撃…あわや公開中止!『パドマーワト 女神の誕生』インド最大級の大作に起こったインドならではのトラブルとは?

16世紀に生み出されたインド古来の伝記を、インド映画史上最大級の製作費を費やした絢爛豪華な映像美で描く『パドマーワト 女神の誕生』(原題:Padmaavat)が6月7日(金)より、新宿ピカデリーほかにて全国順次公開!
インド映画史上最大級の製作費を費やし、壮麗な宮廷、絢爛豪華な衣装、大軍勢によるスペクタクルな合戦など、細部まで計算し尽くした映像美で描く、めくるめく歴史絵巻。インド映画史を塗り替えた映像体験が、遂に日本にやってくる!

インド映画最大級の製作費で、インド人なら誰もが知っている伝記を絢爛豪華な映像で映画化する。これまで数々の歴史物や古典文学の映像化を行ってきた名匠、サンジャイ・リーラ・バンサーリー監督にとっては、真骨頂ともいえるプロジェクトだった本作「パドマーワト」。しかしその公開には、インドならではの苦難があった。“インド古来の民族ラージプート族や、彼らが信仰するヒンドゥー教を侮辱する内容。”や“伝記では、高貴な存在として描かれてきたパドマーワティ妃が、イスラム王アラーウッディーンに心を奪われる不貞描写がある。”などの噂を元に、一部の過激な団体が、撮影現場に押し入ってセットや機材を壊したり、公開日が近づくと、ネット上では監督や主演のディーピカー・パードゥコーンの首に賞金を懸ける者も現れた。
さらに、政治家がこの問題に言及したり、ラージプート族の出身地であるラージャスターン州(インド北西部)と近辺の州では、州内での上映を認めないなど次第に問題が拡大し、当初予定していた2017年12月1日の公開が延期となった。最終的にインドの映倫にあたる中央映画認証委員会の審査にかけられた本作は、タイトルをヒロインの名前である“Padmavati”から、伝記と同じ“Padmaavat”に変える事で上映の許可がおり、最高裁判所も上映禁止令の差し止めを行い、2018年1月25日に公開となった。しかし公開後も、劇場のあるショッピングモールが襲撃され、駐車場の車が燃やされるなどの事件が続き、一部の州では、反対派の襲撃を恐れて上映ができない状況となった。
実際の映画は、ラージプート族の高潔さや勇敢さが描かれ、誰が見ても問題の無いものとなっていて、次第に事態は沈静化。この大きな話題も伴い、映画は2018年のインド国内第3位となる大ヒットを記録した。この騒動から1年間の沈黙を経たバンサーリー監督は、「当時は、大勢の警官に囲まれて、2、3ヶ月間、ときに物理的に攻撃を受けながら映画を撮り続け、 その上、無事公開されるかも分かりませんでした」「私はこの映画が美しいと思っているのに、なぜか人々の怒鳴り声が聞こえるのです」「観客が映画を見てくれて、抗議が全くなかった事が一番大きな心の支えとなりました。結果として、興行で最大の成功を収めた事、こうした作品に対する愛が、私を落ち着かせてくれました」と、騒動から受けたショックと、その後の心境を語っている。

日本では計り知れない、インドにおける映画の持つ力や歴史・宗教の影響力を本作で垣間見るのも、一つの異文化体験と言えるのではないだろうか。『パドマーワト 女神の誕生』は6月7日(金)公開。

©Viacom 18 Motion Pictures ©Bhansali Productions

最終更新日
2019-05-29 12:00:00
提供
映画の時間編集部

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