演じるのではなく、暮らしを切り取る。岩田剛典、夏木マリが語る監督の映画に対する強いこだわり『Vision』完成報告会見[後編]

演じるのではなく、暮らしを切り取る。岩田剛典、夏木マリが語る監督の映画に対する強いこだわり『Vision』完成報告会見[後編]1
演じるのではなく、暮らしを切り取る。岩田剛典、夏木マリが語る監督の映画に対する強いこだわり『Vision』完成報告会見[後編]2

 6月8日(金)に全国公開を迎える映画『Vision』の完成報告会見の様子をご紹介![後編]

 「Vision」の謎を唯一知っている、長い時間生きているアキを演じるための役作りに関して聞かれた夏木マリさんが、
「演じることはおいておいて、アキとして2週間ぐらい吉野の山に住みまして、暮らしてる間にドキュメンタリーのカメラが入ってるなって意識だった。智がよもぎ団子を食べているシーンがあるんですが、アップでそんなによもぎ団子映らないんですが、聞いてください、まずよもぎを摘みに行くとこから始まり、きれいに色を出すため1日浸し、翌日それをすりまして、お餅をふかしましてあんこもつくりまして、撮影の分量のためたくさん作り、冷凍と常温に分けて保存するところまでやりました。河瀬組はそうして、切り取るところは本当に一瞬ですけど、山で暮らしてるというとこを全部やらされ…やらしていただく状況でした。河瀬さんからアキの住んでいる家から1時間かけたところにあるお地蔵さんの花と水を替えるようノルマをいただきまして、撮影のない日もそこに行って、2週間やらせていただいて、少しは山で暮らせるようになりました。1000年生きているという設定に基づきiPhoneから離れ、アキに倣っておかゆで生活し、他の組ではない経験をさせていただきました。」
と、河瀬組独自の撮影方法を語ると、続けて岩田さんも
「初参加だったんですけど、河瀬メゾットの洗礼を受けました。衣装合わせの段階から、同じ会場に夏木さんたちがいらっしゃってもご挨拶させていただけなくて、役でお会いする機会がない方とは一切口をきくな、目も合わせちゃいけない。そういう取り組み方は初めてで、自分が登場する最初のシーンでも永瀬さんにあらかじめ俳優としてご挨拶させていただきたいところだったんですが、それもカメラが回っているところで初めて鈴として、智として初対面をとりたいという監督のこだわりがあって、そういうのを一番大事にしている監督なんだと初日に理解しました。本当はクランクインする1か月前くらいから森に住んでくれと言われていたんですが、ツアー中だったので流石に難しくて。ジュリエットさんと納屋で生活してたのですが、病気になってしまいまして、少し下山した民宿をお借りしていました。作品に対しての監督のこだわりは他の組にはないものですし、演じるにあたって本当に地に根付いて暮らす、そこを切り取るという撮影方法は刺激的でした」
と河瀬メゾットを語りました。鈴になりきってしまったため、帰った後メンバーに「本当に森の人になっている」と指摘を受けたというエピソードも披露。撮影に対する熱意と真摯な想いが伝わってきました。
 一方、美波さんは
「私はジュリエットと一緒におしょうゆ工場いったり、ボタニカルガーデンいったりすごく楽しく過ごしていました。皆さんお風呂もかまどでやっていらして…」と漏らすと、「あそこのお風呂怖かったですね~。一瞬でシャワーして戻りましたもん。」と岩田さん。ジュリエットさんに憧れていたという美波さんは一緒に過ごせて幸せそうでした。
 物語の着想に関して、河瀬監督は
「去年のカンヌでジュリエットと出会い、その後3か月で準備を整えられたのは吉野の人たちのサポートのおかげです。有名な世界的な女優さんであったとしても、映画というものを中心に置くとすごい生身でぶつかってくるプロ意識がある。『どんな場所に住もうとも、たとえここに爆弾が落ちようと、わたしはここから逃げない』ということをまず最初に言われた。森をテーマにしようとしたのは、森林の意味をもう一度考えたかった。吉野の植林の500年の歴史の循環を担う人が今いない。日本を代表する産業が衰退していくというのは人間にとって財産を失うことになる、と思ったらテーマがどんどん発展していった。現代社会を生きていて、自分たち本位で生活していると、自然が、地球が疲弊していってしまう。ある種作家として、人間としての危機感が原点で、それをどう再生・次の一歩を踏み出していくかが始まりでした。」と熱く、自然、そしてこの映画に込めた想いを語ってくださいました。

 また、特別ゲストとして本作の音楽を担当した文部科学大臣賞受賞の経歴を持つ国際的ジャズピアニスト・小曽根真さんの生演奏。素敵な演奏のあと小曽根真さんから「演奏していて映像がすごく出てきて、即興で色々付け加えました。弾いていて自分で感動しちゃいましたね。」とコメントをいただき、最後に監督から「吉野の森は人々を惹きつけました。映画『Vision』に集結させて誕生しました。この人にもう一度逢いたい、という想いをもって映画を楽しんでいただきたい。繰り返しあいたいけど逢えないひとがいる。けどその人たちの気配は生き続ける。この映画に出会いに来てください。映画『Vision』のチームが待っています。」と締めくくりました。
 映画『Vision』は6月8日(金)全国公開です!お楽しみに。

(C)2018『Vision』LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

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最終更新日
2018-04-26 15:00:00
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