8歳の時、初めて8ミリカメラを手にしてから約30年。今や、世界中で高い評価を受ける河瀨直美監督が、生まれ故郷である奈良県を舞台に、『イングリッシュ・ペイシェント』で米アカデミー賞助演女優賞、世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得したフランスの名女優ジュリエット・ビノシュ、そして、『あん』、『光』と河瀨監督作品2作に連続主演、日本が世界に誇る国際派俳優 永瀬正敏をダブル主演に迎えた映画『Vision』が6月8日(金)に全国公開。
この度、世界中が注目している河瀨監督渾身の最新作の完成を記念いたしまして、永瀬正敏さん、夏木マリさん、岩田剛典さん、美波さん、そして河瀨監督をお迎えして完成報告会見を実施しました。
舞台となった奈良・吉野の森を再現するような樹木で埋めつくされ、神秘的な雰囲気に包まれた会場の中、キャストの皆さんが登場。
永瀬さん「昨日、誕生しました!毎回河瀬監督とご一緒すると席から立ちあがれなくなったりとかするんですけど、今回は帰ってから心がどんどん震えてきてしまって、結局寝れずに徹夜でここに来ました。作品が皆さんに届くよう、よろしくお願いいたします。」
夏木さん「河瀬監督の新しい作品が、ファンタジックに出来上がりました。昨日初めてみまして、ストーリーが新鮮でございました。台本と全然違っておりましたので。それが河瀬監督の組の作り方なんだなと思いまして、素敵につないていただいて、生きることとか日本の自然とかが全部入っていて、河瀬監督の映画の世界が素敵に広がっていると思います。」
岩田さん「今回自分は河瀬監督作品初参加だったんですけど、撮影の中で色んな洗礼を受けました。鈴として、森の中で、演じるのではなく生きるということを監督から教えていただいて。とても美しい映画になりました。森の中に自分が迷い込んだかのような、そんな錯覚に陥るような臨場感のある美しい作品に参加できたことを、誇りに思います。」
美波さん「ジャンヌを託してフランスに帰る役なんですが、昨日初めて拝見して、こんな終わり方、こんなジャンヌについていったと思わなくてびっくりしました。不思議だけどどこか暖かくて、自分を振り返ることができた素敵な時間でした。」
河瀬監督「10本も長編映画を作ってきたその30年の歴史の中で、この時代にこの映画を誕生させたことを本当に誇りに思います。吉野という土地、再生の土地。みんなが引き寄せられるように集まってきて、離れていった。そして今日ここでもう一度会えた。それが私にとっての宝物です。この映画を皆さんとともに運んでいきたいと思います。」
とそれぞれ昨日完成したばかりの映画を観た感想を交え挨拶しました。
司会の方から<3作目の河瀬監督とのタッグの感想>を聞かれた永野さんは
「毎回違います。異次元からいらっしゃったんだと思います。脚本をいただいて役を続けていく過程で、最後の最後まで監督と見ている到達点は絶対一緒。それは自信あります。でも昨日見させていただいたら、それよりはるか深く、遠くから見ていらっしゃる監督の目線が出来上がった作品になっていて、こりゃまだまだだなと思いました。」
と河瀬ワールドの奥深さを語り、続けて<森の中でどのように生きたか>という質問に対しては
「河瀬メゾットといいますか、実際に撮影に出てくる智の家にクランクインの2週間ぐらい前から犬と暮らさせていただいて、役作りではなく、智として血液を、心を入れ替える作業を適時やらせていただき、山守さんにご指導いただいて。チェーンソーの練習をしたり、彼(岩田さん)はスラスラ~っと高い木に登って行って、2日くらいでそれをやっちゃいましたからね」
と岩田さんを持ち上げると、河瀬監督からも「じゃあ芸能人やめたらそれやればいいのに」と意外な提案!岩田さんは「筋肉痛になりましたけどね(笑)」と謙遜するも、夏木さんからも「あのシーンはかっこよかった!」と援護射撃。新たな才覚が明らかになりました。
☆後編に続く
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