第74回ヴェネチア国際映画祭にて「オリゾンティ部門脚本賞」「ヒューマンライツ賞受賞」
ドキュメンタリーであるにも関わらず、群像劇のような見応えにヴェネチア映画祭が脚本賞を授与した『苦い銭』。こんな会話や表情が、なぜ撮れる?と常に観客を驚かせ、カメラの存在を消す天才監督と言われるワン・ビン監督の真骨頂といえる作品です。今回、監督のカメラが捉えたのは、出稼ぎ労働者が住民の80%を占める街・湖州で働く人々。14億が生きる巨大中国の片隅で、1元の金に一喜一憂する彼ら。そのひとりひとりの人生が胸に迫り、ある意味、“彼ら”は世界のいたるところに存在する“私たち”なんだと気づかせてくれる必見の傑作です。
雲南省から湖州の街に出稼ぎに行く少女とその先輩の女性が車中で眠りこける表情を捉えたポスタービジュアル。キャッチフレーズの「働けど、働けど」が身に沁みます。
◆ワン・ビン(王兵)監督コメント
中国社会では、現代ほど「金」が重要な時代は、これまでに存在しませんでした。今、誰もが裕福になりたいと願っています。 しかし現実から見れば、それは誰もが空想の中に生きていると言うしかありません。また“流れゆくこと”は、今日の市井の中国人にとって重要なテーマです。私は、彼らの物語を語るために、カメラのショットや捉える人物をずらしながら、ある被写体から別の被写体へ、焦点を揺らすようにひとつに絞らずに撮影しました。
映画『苦い銭』は2018年1月下旬にシアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー!
©2016 Gladys Glover-House on Fire-Chinese Shadows-WIL Productions