「みんな、殺されちゃえばいいのに」
原作 平山夢明 × 監督 亀井亨が創りだす最狂の自主製作映画がついにカナザワ映画祭2016でお披露目!映像化不可能と言われた平山夢明の短編小説集「独白するユニバーサル横メルカトル」の一編「無垢の祈り」を容赦ない内容で完全映像化。八つの短編から成り立つこの小説集は、グロテスクな描写や不意を突かれる感動などが読者間で話題となり、宝島社が毎年発行するミステリー小説のブックランキング「このミステリーがすごい!」で2007年度版第1位に輝いた。
学校で陰湿ないじめを受ける10歳の少女フミ。家に帰っても、日常化した義父の虐待が日を追うごとに酷くなり安息の時間もない。母親は、夫の暴力から精神の逃げ場をつくるべく、新興宗教にいっそうのめり込んでいく。誰も助けてくれない――フミは永遠に続く絶望の中で生きている。そんなある日、自分の住む町の界隈で起こる連続殺人事件を知ったフミは、殺害現場を巡る小さな旅を始める。そしてフミは「ある人」に向けて、メッセージを残した――。
平山作品の中でも絶大な人気を誇る「無垢の祈り」だが、虐待・宗教・連続殺人などを盛り込んだ小説ゆえに、映画化が難しいとされていた。それを自主製作に踏み切って映像化したのが監督の亀井亨。
原作者・平山夢明と監督・亀井亨は10年前、独立UHF局によって深夜ドラマとして放送された『「超」怖い話』(TV版)で初タッグを組んだ。平山が織りなす「恐怖」を亀井が地上波で限界突破して映像化したこの作品は、その振り切った持ち味から深夜帯にも関わらず人気を博したが、「エグすぎる」との苦情が多かったことも話題になった。
それから10年。監督・亀井は平山の原作を幾度となく企画したが、平山作品が持つ独自の「反道徳的」で「一般論」から遠くはなれるソリッドな作品は映像化がとても難しく、なかなか形にならなかった。そこで亀井は、完全自主製作体制で「無垢の祈り」の映画化を試みた。
企画立ち上げから3年。ようやく一般公開となった『無垢の祈り』。主演は撮影当時9歳だった福田美姫。虐待を繰り返す狂気の男に、芸人のBBゴロー。亀井作品の出演は4作目となり、穂花から本名に改名した下村愛が新興宗教に狂う母を演じる。
原作者・平山夢明は、本作初号試写を観た後に「もう少し手加減しないと、観て死ぬ人が出るなと思った」と語る。監督・亀井亨は「平山作品を映画化する際には、心が壊れてしまいそうな苦しい描写をそのまま映像化したいと考えていた」と語る。
現実社会に子供に対する虐待など、主人公フミが抱えているような問題は無数に転がり綺麗事では済まされなくなっている。その問題をダイレクトに映像表現し、形になったものが「無垢の祈り」。ふたりの創造者の限界突破した覚悟がスクリーンに映し出される。観客は『無垢の祈り』を観た後、暫し席を立つことができないはず…。
9月18日カナザワ映画祭2016にてジャパンプレミア上映が行われた後は、10月8日より渋谷アップリンク、他にて全国順次公開予定。
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9月18日カナザワ映画祭2016ジャパンプレミア上映。
10月8日より、渋谷アップリンクにて公開。
原作 平山夢明 監督 亀井亨
「無垢の祈り」