P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-03-16
若きジョーン役のソフィー・クイックソンに惹かれて観た本篇,ジュデイ・デンチの重厚な演技と共に考えさせられる本篇。原題〈RED ジェーン〉,ヒロシマへの被爆問題が絡み
じょーんのひみつ
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若きジョーン役のソフィー・クイックソンに惹かれて観た本篇,ジュデイ・デンチの重厚な演技と共に考えさせられる本篇。原題〈RED ジェーン〉,ヒロシマへの被爆問題が絡み
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当時は英・米とソ連とが、ナチス・ドイツに対抗して同盟関係にあった時代。イギリスの若者たちの社会主義への共感、そしてスターリンの抑圧政治への幻滅、反感などを織り交ぜながら、主人公ジョーンの、運命に翻弄されながらも強く生きる姿が描かれます。
原爆と女性(科学者)と言えば、すぐに核分裂の発見者リーゼ・マイトナーが思い浮かびますが、彼女は開発計画への参加を拒否することでその人間性を貫きました。この映画の主人公は、マイトナーとはまた別の方法で、同じように自分の人間らしさを守りました。
もちろん「スパイ行為」や目的の妥当性(核抑止論を連想させる)などは議論になりうるでしょうが、当時彼女なりに人類全体を第一に考えて行った真摯な行動でしょう。それに比べて、ただひたすら原爆開発に邁進する男性科学者たちが単細胞に見えてしまいます。
個人を国家に従属させる制度である「反逆罪」を持つ国の怖さ、日本にはこのような法律がとりあえずは存在しないことの重要さも感じ取れました。
最後のシーンの主人公のスピーチと、弁護士である息子の言葉に心を打たれます。
(「ペガサス・ブログ版」に書いたのを圧縮)