P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2018-10-28
ヘイト・クライムでの銃発砲事件等、宗教間の抗争の絶えない物騒な現代社会にとり、本編で描かれた如き愛の和解のテーマはずしりと重く広がる。スクリーンに写し出された、蝋燭を灯火に浮かび上がる乙女の一瞬の姿が、モノクロームの本フィルムの〈美の結晶〉!こんなスチル写真やポスターや映画館の看板を観たら入館せずにはいられまい!
いのり
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ヘイト・クライムでの銃発砲事件等、宗教間の抗争の絶えない物騒な現代社会にとり、本編で描かれた如き愛の和解のテーマはずしりと重く広がる。スクリーンに写し出された、蝋燭を灯火に浮かび上がる乙女の一瞬の姿が、モノクロームの本フィルムの〈美の結晶〉!こんなスチル写真やポスターや映画館の看板を観たら入館せずにはいられまい!
ギリシャ神話の世界見たくも在る本編に続いて、祈り三部作の第二作目の映画「希望の樹」も牧歌的な山村生活が結婚因習を経て、例えば江戸時代の不義密通ものの様な悲劇へと転調して行く…。アブラゼ監督の其のドラマチックな描き方は本編にも既に観られたが、「希望の樹」のエロスとタナトスの激烈さで迫る。三部作最後の映画「懺悔」ではデ・キリコの絵画風な中世の甲冑姿の騎士が暫し法廷に臨席する諧謔な風刺劇で痛快な独裁政治批判と為った!
グルジア共和国のテンギス・アブラゼ監督のクラシックなスタイルの作品。モノクロ・サイレントの実験シネマの如きシンボリックな絵造りで現代的テーマの宗教対立の抗争劇をヒューマニズムを貫いてダイナミックに且つ静謐に描き出した力強い映像だった!