P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-03-18
此の処伝記映画にもチャレンジしているクリステイン・スチュアート…。ジェーン・セバーグの数奇な運命を演じた本邦未公開作品〈セバーグ〉でもセシルカットの出立ちで
あくとれすおんなたちのぶたい
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此の処伝記映画にもチャレンジしているクリステイン・スチュアート…。ジェーン・セバーグの数奇な運命を演じた本邦未公開作品〈セバーグ〉でもセシルカットの出立ちで
是枝裕和監督の映画〈真実〉のジュリエット・ピノシュを見ていると本篇の女優を廻る葛藤のドラマが想い浮かんで来る。上記のフランス映画は大メロドラマでも有ったけれども
そして劇中劇の〈マローヤの蛇〉の斬新な舞台美術・セットと演出…。本編が映画と舞台のジャンルを取っ払った試みで在りながら、シェークスピァ劇の古典の風格を感じて仕舞うのは挿入されるclassicな音楽のせいなのかも知れない🎵記憶の衰えに抗いながら舞台裏のアクトレスの心と躰は山岳にすぅーと這う雲の揺蕩いに喩えられるのだろう。
本編をmovie plusのTV放映で改めて視ると劇中劇の〈マローヤの蛇〉が何とも神秘的な要素に充ちていた。其の蛇型の霊魂の様な雲は、オリビエ・アサイヤス監督の最新作〈バーソナル・ジョッパー〉へと継承されて往く事だろう。熾烈な女優業の内幕ものとしてだけで無く世代交代劇をシリアスに追ったヒューマン・ドラマなのだった。
河瀬直美監督の<光>を観て本編が連想されたのは、1老いがテーマ2映画作りが共同作業の賜物3同業者の敵対心と商業主義への批判精神と言う要素からだったー。本編の舞台となったスイスの山岳風景と河瀬作品の奈良の景観との違いは勿論だが映画人の心意気は共通している!パルムドール賞の授賞式でジュリエット・ピノシェの発したルミエールのフランス語は正に光そのもの。映画愛であった。
ジュリエット・ピノシュ、クリステン・スチュアート、クロエ・モレッツの花の共演!大女優の老いと世代交替による失墜への危機と克服…を見詰めた作品。山岳を這う蛇の如き雲海のシーンや山登りをしながら台詞を練習するシーンなど印象的。チャールズ・チャップリンのあの名作(ライムライト)の女優版と云った処か…。ラストで見せる大女優の強かさも魅力!