P.N.「水口栄一」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-02-01
この映画を観て、とても感動した。私は過去を振り返れば、ファッションビジネスの世界を取材していたことがある。だからこの映画はひじょうに興味深かった。これは何よりもイヴ・サンローランのひたむきな生き方を見事に追求していると思った。私は1970年代から2000年代までのファッションビジネスのことを考えてしまった。1970年代はパリ、ミラノ、ニューヨーク、東京とファッション革命が起こった。レナウン、オンワード樫山、東京スタイル、ビギ、ニコル、コム・デ・ギャルソン、ワイズなどの言葉が浮かぶ。1980年代はオンワード樫山、レナウン、イトキン、三陽商会、シャネル、ルイ・ヴィトン、アルマーニ、ラルフローレンなどが出てくる。1990年代はギャップ、ザラ、H&M、ユニクロが成長を見せ始めた。2000年代になるとバブル崩壊以降、売り上げ減となった倒産が相次いだ。そしてイヴ・サンローランが創作活動をおこなった過去40年の作品のすべてを売却することにしたのだ。イヴ・サンローランの引退はデザイナーVS資本家というドラマに終止符を打ったと言うことになるだろう。この映画はほんとに素晴らしい作品だと思う。