ローマ環状線、めぐりゆく人生たち 作品情報
ろーまかんじょうせんめぐりゆくじんせいたち
1日の車の交通量16万台、全長約70km。大都市ローマを取り巻く大動脈高速道路GRA。その周辺には旅行者たちが知らない愛すべき人たちの暮らしがある。スポットライトを浴びることもなく、懸命に生きる人々の人生に目を留めると、その風景の中に喜び、怒り、哀しみ、そして夢が見えてくる。フランチェスコは音響機器と殺虫剤で武装した植物学者。GRAの荒れた草地と羊の群れから身を隠すように、隅っこでヤシの植林地を破壊し食べつくす害虫の大発生を食い止めようと、1人でその方法を模索している。GRAの出口に密集する個性に乏しいマンションやアパートの中で、魔法の如く聳え立つお城の屋上では、オーナー兼管理人のフィリッポがエクササイズしながら葉巻を燻らせている。フィリッポとと妻のイクセニアは没落した現代の貴族。今では城は、民宿、コンベンション・センター、ドラマの撮影への貸し出し、そして日曜日には芝居を上演する劇場へと様々に姿を変える。ピアモンテ州出身の老紳士パオロとその娘アメリア。仮住まいとしてあてがわれたGRA沿いのモダンなアパートの一室で生活する2人は、手狭な部屋で世間話から高尚な話まで、延々と会話しながら共に過ごしている。GRAを巡回する救急隊員のロベルトは、キラキラ光る救急車で駆け回り、宇宙飛行士のような蛍光色のユニフォームで応急処置を行なう。排水路に転落した男の体を温め、大破した車からスピード狂の若者を助け出し、心臓発作を訴える患者を蘇生する一方で、ひっそりとした家で年老いた母親の面倒を見ている。7代目にして最後の後継者であるウナギ漁師のチェーザレは、GRAの騒音の影に潜むテヴェレ川の畔に住んでいる。後継者がいないことを嘆く彼は、その独自の人生哲学を語りながらボートを操り、先祖とまったく同じ方法で川に網を張る。
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」の解説
ローマを囲む環状高速道路GRA周辺に暮らす人々の姿を追ったドキュメンタリー。害虫対策に没頭する植物学者や休む間もなく市内を駆け廻る救急隊員など、大都市の片隅で生きる名もなき人々の姿を、時に叙情的に時にユーモラスに独自の目線で描き出す。ドキュメンタリー映画として初めてヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。
ローマを取り囲む環状線の周辺に住む個性的な人々を捉え、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した初のドキュメント。木の中の音を研究し続ける植物学者、子守唄を口ずさむ両性具有の車上生活者など、さまざまな人の生き様が紡ぎ出される。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2014年8月16日 |
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キャスト | 監督:ジャンフランコ・ロージ |
配給 | シンカ |
制作国 | イタリア(2013) |
上映時間 | 93分 |
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