マージナル=ジャカルタ・パンク 2014年春版 作品情報
まーじなるじゃかるたぱんくにせんじゅうよねんはるばん
インドネシアのパンク・シーンはその初到来から20年が経ち、今ではアジア最大と言われるまで巨大化し続けている。東南アジアにあって世界最大のイスラム国家であるインドネシアは、1998年5月、首都ジャカルタで反体制デモが連日繰り広げられた。30年に渡り抑圧と恐怖、経済危機と混乱をもたらしたスハルト長期軍事独裁政権は崩壊したが、それから16年経った今、経済成長と共に貧富の差は拡大している。汚職と腐敗と不条理が蔓延し、インフラは整備されず、医療制度は機能しない。必死に働く子どもたち。ウクレレを抱えたパンクな出で立ちの少年は、バスの乗客の前で一曲演奏する。貧しさが生んだフラストレーションはパンク・ムーブメントに火をつけ、瞬く間に若者の間に広がった。バンド、マージナルは革命児であり、ジャカルタのパンクスの中心的存在だ。“Marjinal”とは、端っこ、崖っぷちに生きる者たちや、重要視されず、排除された人々を意味する。メンバーのマイクとボブは、かつて活動家として学生運動を続けてきた。政治的自由も言論の自由もないなか、自分たちのメッセージを伝えるために、96年、バンドを結成した。その不屈の精神、パワフルで親しみやすく独特な楽曲は、国中のパンクスから絶大な支持を得ている。彼らの代表曲『ネグリ・ングリ(恐怖に襲われた国)』をストリートキッズがウクレレで演奏する。子供でも簡単にできるウクレレの弾き語りというストリートでのサバイバル術は、マージナルが伝授したものだ。バンド活動よりも長く、2人は独自の生活共同体“タリンバビ”を運営している。音楽やアートを体験する空間として解放されたそこは、孤児を含む無職のパンクスに生活の場を無償で提供している。この16年間、2人の姿勢がぶれたことは一度もない。バンドはツールに過ぎず、自由を獲得するためやるべきこと、守るべき仲間がいるから目標を見失わず活動し続けられると2人は語る。
「マージナル=ジャカルタ・パンク 2014年春版」の解説
インドネシアで絶大な支持を得ているパンク・バンド、マージナルのドキュメンタリー。貧困と腐敗が蔓延する同国で、孤児や無職のパンクスに生活の場を提供するなどの活動も行っている彼らの不屈の精神を描き出す。監督はフリーの写真家で、ジャカルタに移住してマージナルのドキュメンタリーを製作している中西あゆみ。
アジア最大のパンク・シーンが根付いたインドネシアにおいて、中心的な存在であるバンド“マージナル”。汚職と腐敗が当たり前の同国で、彼らが音楽で革命を起こそうと闘い続ける姿とジャカルタパンク・シーンを、日本人監督が追ったドキュメント。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2014年5月3日 |
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キャスト |
監督:中西あゆみ
出演:マージナル ジャカルタ・パンクス |
配給 | アップリンク |
制作国 | 日本 インドネシア(2014) |
上映時間 | 63分 |
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