嘆きのピエタ 作品情報
なげきのぴえた
30年もの間、親の顔を知らず、天涯孤独に生きてきた男イ・ガンド(イ・ジョンジン)。彼の仕事は、債務者に重傷を負わせ、その保険金で利子が10倍に膨らんだ借金を返済させるという、血も涙もない借金取立て屋だった。そんなガンドの前にある日、彼を捨てた母だと名乗る謎の女(チョ・ミンス)が現れる。その話を信じないガンドは邪険に追い払うが、女は執拗に後を追い、アパートの前に生きたウナギを置いてゆく。ウナギの首には“チャン・ミソン”という名前と携帯電話番号を記した1枚のカードが括り付けられていた。躊躇いつつもガンドが女に電話をすると、子守唄が聴こえてくる。ドアを開けると、そこに佇んでいたのは、涙を浮かべながら歌うミソンだった。“母親の証拠を出せ”と詰め寄るガンドの残酷な仕打ちに耐えるミソンは、捨てたことをひたすら謝罪。自分の傍を離れず、無償の愛を注いでくれるミソンを、徐々にガンドは母親として受け入れてゆく。そしていつしかミソンは、ガンドにとってかけがえのない存在となっていた。だが、彼が取り立て屋から足を洗おうとした矢先、ミソンの行方が分からなくなる。その身を案じるガンドにかかってきた1本の電話。聞こえてきたのは、助けを求める母の悲鳴と激しい物音だった。自分が借金を取り立てた債務者の誰かが母を連れ去ったと確信したガンドは、債務者の家を訪ねてゆくが…。
「嘆きのピエタ」の解説
天涯孤独の借金取り立て屋と、彼の前に現れた母を名乗る女性との交流が導く思いがけない真実を、二転三転する物語の中に描いたサスペンス。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。監督は「うつせみ」で同映画祭監督賞を受賞したキム・ギドク。出演はテレビドラマ『ピアノ』のチョ・ミンス、「マルチュク青春通り」のイ・ジョンジン。
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したキム・ギドク監督作。孤独に生きてきたガンドは債務者に保険をかけると重傷を負わせ、その保険金で支払わせる極悪非道なやり口で借金を取り立てていた。そんな彼の前に、母親を名乗る女性が出現する。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2013年6月15日 |
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キャスト |
監督:キム・ギドク
出演:チョ・ミンス イ・ジョンジン ウ・ギホン カン・ウンジン クォン・セイン チョ・ジェリョン イ・ミョンジャ ホ・ジュンソク ソン・ムンス キム・ボムジュン ソン・ジョンハク チン・ヨンウク ユ・ハボク ソ・ジェギョン キム・ジェロク イ・ウォンジャン |
配給 | クレストインターナショナル(提供 キングレコード=クレストインターナショナル) |
制作国 | 韓国(2012) |
年齢制限 | R-15 |
上映時間 | 104分 |
(C))2012 KIM Ki-duk Film All Rights Reserved.
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-03
鬼才キム・ギドク監督のサスペンス映画「嘆きのピエタ」は、最後まで手の内を明かさない脚本が、愛憎劇の果てをも描いた作品だ。
キム・ギドク監督の映画は、いつ観ても肩が凝る。最後まで気の抜けない緊張感の連続に、全身がこわばってくるのだ。
特にこの映画はひどい。並みのサスペンス劇では到底及ばない、肺腑を抉るような息詰まる人間ドラマになっているからだ。
題名にある「ピエタ」とは、十字架から降ろされたキリストを、胸に抱く聖母マリアを指している。
つまり母と息子の物語なのだが、ここでは主役は母であり息子でもある。
生まれてすぐに捨てられた、30年間天涯孤独に生きてきた借金取りの男(イ・ジョンジン)のもとへ、ある時、母と称する中年女性(チョ・ミンス)が現われる。
執念深い彼女は、とうとう男の家に上がり込み、食事の世話までするようになる。
果たして彼女は、本当に母なのか?
ここから物語は次第に核心へと至るのだが、ミステリアスなサスペンス劇という関係上、細部を語るのは御法度だろう。