最終目的地 感想・レビュー 2件
さいしゅうもくてきち
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P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-03
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
ナチから逃れて南米に行き着いた一族の歴史を踏まえて語られる、”崩壊と再生の物語”。
南米の白人社会特有の”退廃と孤独”の中で、もう一度生き直すには人と人の宿命的な出会いと燃えるような恋愛しかないのか。
バラバラだった個々人の人生が、あたかも一本の糸のように束ねられていく運命劇といおうか。
彫りの深い人間喜劇が観ている私の前に、立ち現われる。
一点一画を揺るがせにしないジェームズ・アイヴォリー監督の緻密な演出。
アンソニー・ホプキンス、ローラ・リニー、シャルロット・ゲンズブール、真田広之といった演技派俳優の自然体できめ細かな演技。
小説の世界を映像化して、アイヴォリー監督の右に出る者はいないと思わせるほど、文学という文字の芸術を完璧に映像で語ってみせる、映画という豊饒な世界に最後まで酔わせられる。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-07-03
この映画「最終目的地」は、文芸映画の巨匠と呼ぶにふさわしい、ジェームズ・アイヴォリー監督の実力を再認識させられた作品だ。
ジェームズ・アイヴォリー監督といえば、「眺めのいい部屋」「モーリス」「ハワーズ・エンド」から「日の名残り」と文芸映画の秀作を撮ってきた監督だ。
E・M・フォースターからカズオ・イシグロといった文芸路線の先に選んだのが、この映画「最終目的地」。
アメリカ人作家ピーター・キャメロンの小説なのだが、舞台は南米ウルグアイというところが、いかにもコスモポリタンのアイヴォリー監督らしいと思いますね。
イラン人のアメリカの大学講師が、自殺した作家ユルス・グントの伝記を書く「公認」を得るために、その作家が晩年を過ごしたウルグアイへと赴く。
映画が描くのは、青年がそこで出会った人々との濃密な心の触れ合い。
人里離れた屋敷で、封印された過去と向き合う妻(ローラ・リニー)と幼い娘を抱える愛人(シャルロット・ゲンズブール)、そしてグントの兄(アンソニー・ホプキンス)とそのパートナー(真田広之)の錯綜した関係は、イラン人青年の来訪により、少しずつ変質していく。