P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-19
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
「狼よさらば」のマイケル・ウィナー監督とチャールズ・ブロンソン主演のコンビによる1972年の作品を、同作のプロデューサーであるアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフのそれぞれの息子である、デヴィッド・ウィンクラーとビル・チャートフがプロデュースした作品が、この2011年版の「メカニック」だ。
今回は「コン・エアー」でデビューしたサイモン・ウェスト監督で、主演は、今やアクション映画の顔と言っても過言ではない、ジェイソン・ステイサムだ。
正確無比な仕事ぶりの殺し屋が、恩人であり友人でもある男の殺害依頼を発端にして、私怨で反撃をしていくことになる。
そこに、恩人の忘れ形見を弟子として、育てていくエピソードが絡み、避けられぬ師弟対決へと突入していく。
タイトルの「メカニック」というのは、正確無比な仕事をする主人公ら、殺し屋を指していう言葉だ。
主人公に対する仕事の依頼が、ウェブサイトの「メカニック求む」という求人欄に流れているのが笑いどころかもしれない。
この映画は、なんといっても、複数の殺しのアサインメントを重ねていく構成が小気味良い。 冒頭、主人公のプロフェッショナルぶりを見せつける仕事があり、ドナルド・サザーランド扮する友人を抹殺することとなる仕事があり、弟子の免許皆伝のための同業者殺害があり、2人で組んでカルト宗教の教祖の抹殺がある。 これら一つ一つ、シチュエーションが異なり、殺し方が異なり、バラエティに飛んでいる。 本題となる組織への反撃や師弟対決は、それら一つ一つのステージをクリアした後の話だ。 サイモン・ウェスト監督の過去作には「コン・エアー」「将軍の娘」「トゥームレイダー」等がある。 どれも刺激的な映像を編集で繋いで、ごまかしているだけという印象で感心したことがなかったが、この作品の仕事ぶりはひと味違うのだ。 ビッグバジェットのイベント的映画という重圧から解放されたのか、体脂肪率の低い脚本ゆえか、無駄のない筋肉質の演出で盛り沢山な内容を93分にまとめる職人ぶりが実にいいと思う。
弟子を演じるベン・フォースターのへたれぶりと、組織のトップを演じるトニー・ゴールドウィンの卑怯者っぷりは、過去の作品等のイメージによる先入観を裏切らない。 見た目だけで説明不要というキャスティングは、この手の映画では重要なことだと、改めて感じました。