悲しみのミルク 作品情報
かなしみのみるく
自分が“恐乳病”だと信じるペルーの若い女性ファウスタ(マガリ・ソリエル)。“恐乳病”とは、母親が体験した苦しみが母乳を通して子供に伝わる病だと言われていた。ファウスタの母は彼女を身籠っている時、ゲリラによって目の前で夫を惨殺され、凌辱されるという壮絶な経験をしていた。すぐ鼻血を出して倒れ、独りで出歩くことができないのは、この“恐乳病”のためだと頑なに信じるファウスタ。さらに彼女は、自分の体の奥にじゃがいもを埋めていた。それは、下劣な男たちから身を守るための“盾”であり、自分を閉じ込める“蓋”でもあった。発芽したじゃがいもの芽が両足の間から出てくる度に、ハサミでそれを切り取るファウスタ。苦しみの記憶を背負ったままこの世を去った母を、故郷の村に埋葬しようと決めた彼女は、交通費を稼ぐために女性ピアニストの屋敷でメイドの仕事を始める。だが、娘の結婚が近付いた叔父は、式の日までに遺体を家から運び出さなければ、この土地に埋葬すると通告。ちょうどその時、演奏会直前でスランプに陥ったピアニストが、ファウスタの口ずさむ歌に耳を止める。彼女は、ネックレスの真珠一粒と引き換えに一曲を歌ってもらい、一連揃った時点でそれを与えるとファウスタに約束する。こうして、ピアニストのために歌う日々が始まる。その一方で、ファウスタの周りには、その美しさに魅かれた男たちが近づいてくる。だが、ファウスタが家族以外で心を許せるのは、父親のような年齢の庭師ノエ(アフライン・ソリス)だけだった。真珠が残り一粒となったとき、ピアニストの演奏会が行われる。演奏会は好評だったが、彼女は約束を反古にする。屋敷に忍び込み、真珠を取り戻そうとするファウスタだったが、庭先で倒れてしまう。ノエに優しく抱き起こされたファウスタは、彼の胸で泣きじゃくる。過去の記憶と未来の予感が交差する中、彼女の心は解放を求めていた……。
「悲しみのミルク」の解説
1980年代以降にペルーを襲ったゲリラ集団によるテロのトラウマに苦しむ女性の姿を描いたドラマ。監督は長編第一作「マディヌサ」が高評価を受けたクラウディア・リョサ。出演は「マディヌサ」のマガリ・ソリエル。ベルリン映画祭で金熊賞、国際批評家連盟賞W受賞に加え、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた力作。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2011年4月2日 |
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キャスト |
監督:クラウディア・リョサ
出演:マガリ・ソリエル スシ・サンチェス アフライン・ソリス マリノ・バリョン |
配給 | 東風 |
制作国 | ペルー(2008) |
上映時間 | 97分 |
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