トスカーナの贋作 作品情報

とすかーなのがんさく

イタリア、南トスカーナ地方の小さな村で、本物と贋作についての本を発表したジェームズ(ウィリアム・シメル)の講演が行われる。それを1人の女(ジュリエット・ビノシュ)が息子を連れて聞きに来ていた。公演の後、女が経営するギャラリーをジェームズが訪れたことから、2人は再会。“面白い場所へ連れ行ってあげる”という女の誘いに“9時までに戻るなら”という条件で、ジェームズは付き合うことにする。2人は立ち寄ったカフェで夫婦と間違われたことをきっかけに、ゲームのように、長年連れ添った夫婦を演じ始める。初めは順調に進んでいったが、些細なことをきっかけに、2人の間に微妙なずれが生じてゆく。互いに苛立ちを感じ始めた頃、老夫婦と出会い、2人を夫婦と誤解した老夫婦の夫の方がジェームズにアドバイスを送る。“君の奥さんが求めているのは、そっと肩を抱かれて歩くことだ”。空腹の2人は食事のためにレストランに入る。微妙なずれを埋めるため、魅力的な“妻”になろうと化粧直しをする女。しかし、いくつかの出来事が重なり、苛立ちが最高潮に達したジェームズは店を出ていってしまう。女は後を追うが、逆にジェームズを置いて1人で教会へ歩いていく。やや距離を置く2人。教会から出てきた女が階段に腰掛けると、ジェームズは本当の妻を労わるように静かに謝る。穏やかに夫婦の関係を築き直そうと、2人はお互いを許し、寄り添う。すると突然、女は“15年前の結婚式の夜に泊まった”と言って、近くの安ホテルを訪れる。“15年前に泊まった部屋”に通された女は、すでに“夫婦”の関係をゲームに留められなくなっていた。戸惑うジェームズは、自分が幻想を求めているのかどうかを見定めるように、洗面台の鏡に映った“夫”を演じる自分を見つめる。“言ったはずだ。9時までに戻ると”教会の鐘が、街中にその音色を響かせ、夕暮れを告げていた……。

「トスカーナの贋作」の解説

イタリアの小さな村で出会った男女が、長年連れ添った夫婦を演じることから始まるラブストーリー。監督は「黄桃の味」のアッバス・キアロスタミ。出演は本作でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュ(「イングリッシュ・ペイシェント」)と『The Rake's Progress』のウィリアム・シメル。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2011年2月19日
キャスト 監督アッバス・キアロスタミ
出演ジュリエット・ビノシュ ウィリアム・シメル ジャン=クロード・カリエール アガット・ナタンソン ジャンナ・ジャンケッティ アドリアン・モア アンジェロ・バルバガッロ アンドレア・ラウレンツィ フィリッポ・トロイアーノ マニュエラ・バルシメッリ
配給 ユーロスペース
制作国 フランス イタリア(2010)
上映時間 106分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「PineWood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-05-06

アッパド・キアロスタミ監督の本編はロードショー時に見て、さらに名画座でも観て、今回はTV 放映でした。ジュリエット・ピノシュと息子の会話、憧れ本の著者とのデートと対話、美術館で、カフェで、結婚式場で、教会で、最後に想い出のホテルの窓辺で…。愛と倦怠と、真実と嘘との迷宮ロードムービーだ!ナイーブな英国男とフランス女。イラン映画<別離>の如き危うい男女。夫婦或いは偽装の愛と憎しみ?ラストは我に返った様に鏡を覗き髪を糺すダンデイな紳士の姿…。絵の様に美しい街並みと教会建築も見事♪

最終更新日:2022-07-26 11:03:32

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