P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2025-04-17
この映画「桜田門外ノ変」は、襲撃側の現場指揮官・関鉄之介を主人公に、桜田門外ノ変の事件の顛末を描いた作品だ。
映画の基となった江戸幕末期の事件「桜田門外ノ変」とは、徳川幕府の末期、安政7年(1860年3月24日)、江戸城桜田門外で、水戸藩、薩摩藩の浪士が彦根藩の行列を襲撃して、時の大老・井伊直弼を暗殺した事件だ。
明治維新が成立したのは、それから8年後の1868年、激動となる幕末の最初のテロ事件だった。
この事件を作家の吉村昭が、襲撃側の現場指揮官・関鉄之介を主人公に描いた「桜田門外ノ変」を原作に、「新幹線大爆破」や「人間の証明」などのベテラン監督・佐藤純彌が映画化したのがこの作品だ。
冒頭、井伊直弼襲撃のシーンから始まり、関鉄之介(大沢たかお)以下18名の実行部隊が見事に井伊直弼の首を刎ねた。
この襲撃で死んだ者1名、帰路に戦傷で動けず自刃した者4名、そして8名が自首した。
事を見届けて、予ての計画通り京都へ向かった関鉄之介。
そして、襲撃と時を同じくして挙兵、京を制圧し、朝廷を幕府から守るという約束だった薩摩藩に合流しようとする。
しかし、薩摩藩は挙兵しなかった。そのため、幕府のみならず同胞の水戸藩からも追われる立場となった関鉄之介は、逃亡を続けつつ、襲撃までの経緯を回想するのだった------。
実行部隊の死亡シーンに、名前の字幕を付けるという、深作欣二監督の「仁義なき戦い」方式で描かれた襲撃シーンは、なかなか壮絶だが、それがこの映画の本質ではないと思う。
お尋ね者となった関鉄之介の襲撃後の現状と襲撃前の空約束を交互に描くことで、組織のそして歴史の歯車となった無名の人たちの”事件の後始末”を描いた映画なんですね。