戦場でワルツを 作品情報
せんじょうでわるつを
2006年冬、イスラエル。映画監督のアリは、旧友のボアズから毎夜みる悪夢に悩まされていることを告げられる。それは、自分達が19歳で従軍した24年前のレバノン戦争の後遺症だという。しかし、アリには当時の記憶が全くない。その夜、唐突に甦った記憶の断片は、ベイルート西部の海に全裸で漂うイメージだった。アリは、映画監督で臨床精神科医の親友オーリの勧めに従い、失われた記憶を求めて世界中に散らばる戦友達を訪ねる旅を始める……。オランダの広大な土地に暮らす幼なじみのカルミは、戦場へと運ばれる船で、巨大な全裸の女の幻覚を見たと語る。上陸するなり、銃を乱射、通りがかった市民のベンツは蜂の巣になった……。戦車隊員だったロニーは、記憶を封印して生きてきた。“スイマー”と呼ばれた彼だったが、自分ひとり助かった自責の念から仲間の墓参りもできずにいる……。マーシャル・アーツの専門家、フレンケルの証言から、共に戦った兵士の中にアリがいたことを聞かされるが、アリには全くその記憶がない。だが、取材を経て、アリの記憶は少しずつ甦る。レバノン大統領に選出されたばかりのバシールが暗殺された翌日。西ベイルートに向かう交差点で、廃墟となったホテル群から、アリ達兵士への狙い撃ちが始まった。飛び交う弾など意に介さぬように、悠然と歩くTVジャーナリストのロン・ベン=イシャイ。四方八方からの銃撃の中、道の中央に進み出た一人のイスラエル兵が、ワルツを踊るような軽やかな動きで機関銃を連射し続ける。その兵士はフランケルだった……。アリは、繰り返しフラッシュバックするあの海に自分がいたはずがない、と確信する。オーリによれば、記憶を変容させた源は、アリの両親がアウシュヴィッツにいたと知った幼い日の恐怖、そして、そこに重なるバシール暗殺の復讐劇“サブラ・シャティーラの虐殺”の恐怖があるようだ。アリは、自分自身の真実を見つけるためさらに旅を続ける……。
「戦場でワルツを」の解説
「セイント・クララ」のアリ・フォルマン監督による自伝的アニメーション。元イスラエル軍兵士だった彼が、抜け落ちたレバノンの記憶を探るために、かつての戦友を訪ねる旅を描く。アニメーションとドキュメンタリーを融合させたその斬新な手法で、カンヌ国際映画祭やアカデミー賞などで国際的にも賞賛された。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2009年11月28日 |
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キャスト |
監督:アリ・フォルマン
出演(声):ボアズ・レイン=バスキーラ オーリ・シヴァン ロニー・ダヤグ カルミ・クナアン シュムエル・フレンケル ロン・ベン=イシャイ ドロール・ハラジ ソロモン博士 アリ・フォルマン |
配給 | ツイン=博報堂DYメディアパートナーズ |
制作国 | イスラエル ドイツ フランス アメリカ(2008) |
年齢制限 | PG-12 |
上映時間 | 90分 |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「おにぎり」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2009-12-27
ワルツにのって銃を乱射するシーン。観光気分で装甲車を走らせたと語る兵士。ロックなサントラ。が、一瞬で惨状に。戦争は美しくも楽しくもなんともないが、そういう描写と惨状のギャップがなければ悲惨さをリアルに感じられないのが人間の本性だとおもった。いままで見たバリバリの戦争よりも演技臭くなくてリアル。