Water 作品情報

うぉーたー

夏、長崎の高校水泳部。主将の凌雲(滝口幸広)は高校生活最後の県大会で好記録を出すため、連日、部活仲間との練習に明け暮れている。そんなとき、水泳部のメンバーで、いつも一緒にツルんでいる親友の圭一郎(川口覚)から、彼が東京の大学への進学を希望していることを、聞かされる。圭一郎の真意を問い質す凌雲だが、どうやら圭一郎の決意は固い。立ち去ろうとする圭一郎を、凌雲は「行くなって、わざわざ東京になんか」と後ろから羽交い絞めにする。凌雲の腕を払いのけながらも、当惑を噛みしめる圭一郎。凌雲の実家は酒屋を営んでいる。兄(田中鈴之助)が半年前にバイク事故で命を落とし我が子の死を認めることができない凌雲の母(伊藤かずえ)は、時に凌雲を「お兄ちゃん」と間違えて呼んでしまうように、いまだに情緒不安定だ。そんな切羽詰った現状の中、凌雲は高校卒業後、父を手伝い、家業を継ぐ決意をしたのだった。しかし、そう強く覚悟していたはずなのに、いつも自分の側にいた圭一郎が離れていくとなると、胸がざわざわと騒いでしまう。一方、圭一郎には藤森(小出早織)というガールフレンドがいるが、こちらの関係も最近、ぎくしゃくとぎこちない。凌雲はひとりバスに乗り込む藤森を追いかけ、彼女の後ろに座る。そうして、藤森の座席の背を蹴りながら、「圭一郎、卒業したら東京の大学に行くって。おまえ、置いてきぼりにされるんぞ」と厭味混じりに声をかける。商店街で行き交った圭一郎とともに彼の部屋に上がりこんだ凌雲は、県大会で兄の記録を抜いたら自分の言うことを聞けと、圭一郎に賭けを提案する。その内容を問われて、「まだ考えとらん」と答える凌雲に、圭一郎はもし記録を破れなかったら俺の言うことを聞けと、逆提案する。水泳部員が集まり、麻雀に興じた深夜、ひとり葡萄を食べながら、ジャン・コクトーの『オルフェ』のビデオを観る圭一郎の姿があった。ある日、凌雲は圭一郎の留守中に、彼の部屋にあった『白書』を手に取り、なにげに頁をめくる。コクトーの描く赤裸々な男同士の性交図を目の当たりにする凌雲。そんなとき、藤森が現れた。圭一郎の不在を知られ、出て行こうとする藤森を、衝動的に追いかける凌雲。彼の手には『白書』が握られている。と、廊下に出ると、階段に外出先から戻ってきた圭一郎がいた。藤森を間に挟んで、視線を交錯させる圭一郎と凌雲。すると、圭一郎は藤森を乱暴に壁に押し付け、彼女にキスしようとする。そんなふたりを押しとめた凌雲は、逆に圭一郎を壁に押し付け、突然、圭一郎の口を掌で覆い、その上からキスをする。思いがけない光景を、茫然自失で見つめる藤森。3人の関係が膠着するが……。

「Water」の解説

長崎の町を舞台に、思春期の少年たちの抱える繊細な心象風景を、印象的な映像美の裡に儚く綴った青春映画。芥川賞作家、吉田修一が、1996年に発表した処女小説『Water』を自らの手で脚色し、初監督。凌雲役にはテレビドラマ『ウォーターボーイズ2』の滝口幸広、圭一郎役には「タイヨウのうた」の川口覚、圭一郎のガールフレンド・藤森役にテレビドラマ『電車男』の小出早織。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2007年3月17日
キャスト 監督吉田修一
原作吉田修一
出演滝口幸広 川口覚 小出早織 村崎慎一 姫野拓郎 田中鈴之助 伊藤かずえ
配給 ワイズポリシー
制作国 日本(2005)
上映時間 28分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:36

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