サラエボの花 作品情報
さらえぼのはな
エスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)は12歳の娘サラ(ルナ・ミヨヴィッチ)と二人暮らしだ。生活は厳しく、ナイトクラブでウェイトレスとして深夜まで働く日々。多感な年代のサラは寂しさからしばしばエスマと衝突する。ある日、活発なサラは男子生徒に混じってのサッカーで、クラスメイトの少年サミル(ケナン・チャティチ)とケンカになる。先生に「両親に来てもらう」と言われ、「パパはいないわ。シャヒード(殉教者)よ」と、胸を張るサラ。サミルもまた紛争で父親を亡くしており、その共通の喪失感から二人は次第に近づいていく。一方、過去の辛い記憶から男性恐怖症となっているエスマにナイトクラブは耐えがたい仕事であったが、同じく紛争の中で家族を亡くした同僚ペルダ(レオン・ルチェフ)のやさしさに、心を開いていく。やがて、サラの学校の修学旅行が近づき、父親の戦死の証明書があれば旅費は免除されるのだが、エスマは「父親の死体が発見されなかったので難しい」と、苦しい言い訳を続ける。不信感を募らせるサラに追い討ちをかけるように、クラスメイト達がサラの父親が戦死者リストに載っていないとからかい始め、さらに娘サラのために旅費を全額工面したことを知ると、友達サミルの父親の形見の拳銃を母エスマに突きつけ、真実を教えて欲しいと本気で迫る。つかみ合いになりながら、エスマは長い間隠し続けてきた秘密をついに口にしてしまう。いつもはただ参加している集団セラピーの場で、泣きながら語るエスマ。収容所で敵の兵士にレイプされて身ごもったこと、その子供の存在が許せず流産させようとおなかを叩き続けたこと、そして生まれた赤ん坊を見て、“これほど美しいものがこの世の中にあるだろうか”と思ったということを。修学旅行出発の朝、頭を丸刈りにしたサラを見送るエスマ。言葉は交わさなかったが、出発直前に窓から微笑み小さく手を振るサラ。それに笑顔で大きく手を振るエスマ。そして、子供たちの歌がバス中に響き渡るのだった。
「サラエボの花」の解説
ボスニア紛争後、戦争の犠牲となった女性の再生と希望の物語。監督、脚本は今作が長編第一作となるヤスミラ・ジュバニッチ。出演は母親役に「アンダーグラウンド」「ライフ・イズ・ミラクル」のミリャナ・カラノヴィッチ、娘役に本作が映画デビュー作となるルナ・ミヨヴィッチ。2006年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2007年12月1日 |
---|---|
キャスト |
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ミリャナ・カラノヴィチ ルナ・ミヨヴィッチ レオン・ルチェフ ヤスナ・ベリ デヤン・アチモヴィッチ ボグダン・ディクリッチ エミル・ハジハフィスベゴヴィッチ エルミン・ブラーボ マイク・ヘーネ |
配給 | ツイン=アルバトロス・フィルム |
制作国 | ボスニア・ヘルツェゴビナ(2006) |
上映時間 | 95分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「ever*eve」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2008-10-26
母と子の愛を感じる作品。娘の修学旅行の為に奔走する母に、思わず涙がこぼれた。