善き人のためのソナタ 作品情報
よきひとのためのそなた
1984年11月の東ベルリン、DDR(東ドイツ国家)は国民の統制と監視のシステムを強化しようとしていた。劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)の舞台初日。上演後のパーティーで国家保安省(シュタージ)のヘムプフ大臣(トーマス・ティーメ)は、主演女優でドライマンの恋人でもある魅力的なクリスタ(マルティナ・ゲデック)から目が離せなくなる。党に忠実なヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)はドライマンとクリスタの監視および反体制的であることの証拠をつかむよう命じられる。早速ヴィースラーは彼らのアパートに向かい、屋根裏に監視室を作り盗聴を始め、詳細に記した日々の報告書を書き続けた。既にクリスタと関係を持っていたヘムプフ大臣は「君のためだ」と脅し関係を続けるよう迫っていた。その一方で、ヴィースラーは毎日の監視を終えて自分の生活に戻る度に混乱していく自分を感じていた。そんな中、ドライマンは、DDRが公表しない、東ドイツの高い自殺率のことを西ドイツのメディアに報道させようと雑誌の記者に連絡を取った。監視されていないと確信したドライマンは雑誌の記者を家に呼ぶ。匿名の記事が雑誌に載ると、緊張が走った。DORはドライマンのアパートを家宅捜査するが、何も見つけることはできなかった。クリスタに約束を破られた大臣は、薬物の不正購入を理由に彼女を逮捕させ、刑務所へ連行する。そこではヴィースラーが担当官として尋問にあたることになった。複雑な再会に戸惑いながらも、記事はドライマンによるものであると認めなければ二度と舞台に立つことはできないだろう、と脅す。クリスタは尋問に屈し、証拠となるタイプライターの隠し場所を教えてしまう。そして捜査官は、今度は確信を持ってドライマンのアパートに踏み込み、ドアの敷居を持ち上げさせるが……。
「善き人のためのソナタ」の解説
1984年、国家を信じ忠実に仕えてきた共産圏の役人が、盗聴器を通して自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。監督はのフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。出演はウルリッヒ・ミューエ。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2007年2月10日 |
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キャスト |
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ マルティナ・ゲデック ゼバスチャン・コッホ ウルトリッヒ・トゥクール トーマス・ティーメ ハンス=ウーヴェ・バウアー フォルクマー・クライネルト マティアス・ブレンナー |
配給 | アルバトロス |
制作国 | ドイツ(2006) |
上映時間 | 138分 |
公式サイト | http://www.yokihito.com/ |
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ユーザーレビュー
総合評価:3.33点★★★☆☆、3件の投稿があります。
P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-30
旧東ドイツの秘密警察の盗聴、諜報、尋問などの国家ぐるみの闇の実態が興味深い。それが単なる告発ものの暴露ではなく、国家保安省の男が盗聴を任務する過程で、徐々に自由思想と芸術に影響を受け、社会主義体制の国家に反する裏切り行為を行い、ひとりの反体制思想の劇作家を救う人道主義になっているのがユニーク且つロマンチックである。劇作家の愛人が薬物中毒の意思の弱さから密告をしてしまい罪の意識に苛まれるサブストーリーと調和して、人間の救済に対する作者の信念を感じることが出来る。ラスト、真実を知った劇作家が、救ってくれた元保安省局員に面会せず、小説の序文で感謝を添えるカットが、映画ならではのフィナーレで感動し胸が熱くなる。
時代や社会に惑わされない、人の歩むべき道を教えてくれる優しく美しい映画。