めぐる 作品情報
めぐる
木版で押された小さな布との出会い。日本に伝わった染色技術で最も古いはずの木版染めが、当時、染色の修行をしていた一人の職人・藤本義和の目には、まったく新しく映った。以来、ひたむきに版を押し続けてきた何十年間、あの時の輝きを求め続ける孤独の旅は、今日も工房に響いている。職人は、明けても暮れても繰り返しの仕事に耐え、技が身に付くまでの途方もない時間を過ごす。途方もない時間の中で身につけてきた技術は、「作った物がすべて」だと言い切る職人の揺るがない自信となり、新しい作品に取り掛かる時の、まっすぐな姿勢を生み出す。何十年も繰り返してきたはずの作業を、藤本氏は今もなお、目を輝かせながら「ただ楽しいから」と語る。来る日も来る日も作業は繰り返され、淡々とした毎日が積み重ねられてゆく。そして気付けば、反物は何千もの花びらでぎっしりと覆われていた。版を押す作業がひと段落しても、更にここから職人ならではの作り込みが始まる。無地の部分に色を載せ、お米でできた糊に水で溶いた炭を混ぜたものを木目柄の型紙の上に敷いて、反物全体を桜の樹のイメージを施す。反物を蒸し器にかけ、色が定着したら水洗いをして、不純物を一気に洗い落とす。激しい水洗いの中、色と反物がひとつになった姿がようやく現れる。反物が完成すると、そのシワをのばす「湯のし職人」、反物を着物にする「仕立て職人」という、職人を支える職人たちの想いが加わる。そして、反物は一気に着物へと変化を遂げる。そして、反物は美しい着物となって再び木版染め職人のもとへ帰って来る。職人は着物を前に静かに見詰め、今までの時間を振り返る。今日も木版を押す音が工房に響いている。
「めぐる」の解説
インドより伝来した最古の染色技法「木版染め」の職人、藤本義和氏に密着したドキュメンタリー。監督は、これがデビュー作となる石井かほり。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2006年11月25日 |
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キャスト |
監督:石井かほり
出演:藤本義和 藤本哲生 吉澤敏 吉澤菜津美 小泉伊豆江 |
配給 | グリクリエイツ |
制作国 | 日本(2006) |
上映時間 | 45分 |
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