P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-18
障害児の息子と15年振りに再会し、ベルリンでのリハビリ検診の共同生活を通して、父として人として成長変化する男を見詰めたイタリア映画。現実を視る偽りのないジャンニ・アメリオ監督の姿勢は、イタリア映画のひとつの特徴である親子の絆をネオリアリズモの手法で描く今日的帰結にある。ベルリンの病院で知り合うランプリングの存在がドラマの厚みを増している。恋人を出産時に亡くした主人公の愛情の行方が再び息子に向けられ、淡い期待感と幸福に包まれたかに見えたラスト。運転を邪魔する息子に切れて現実に戻る自己反省の涙の流出は、フェリーニの名作「道」へのオマージュか。最後は、ノルウェーの美しい自然を背景にした、こころに沁みるイタリアらしいイタリア映画でした。