キング 罪の王 作品情報
きんぐつみのおう
海軍を退役した青年、エルビス・バルデレス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、メキシコ人の亡き母から聞かされていた父親に会うため、テキサス南部の町“コープス・クリスティ”に向かう。父デビッド・サンダウ(ウィリアム・ハート)は、今では牧師になり、美しい妻トゥワイラ(ローラ・ハーリング)、神学を専攻する優秀な息子ポール(ポール・ダノ)、純真な娘マレリー(ペル・ジェームズ)と新しい家庭を築き、裕福な暮らしを営んでいた。エルビスは、なけなしの金で中古車を買い、日曜のミサが行われている父の教会に乗りつける。エルビスはデビッドとその家族に対面するが、デビッドにとって、突然現れた息子は汚れた過去を象徴する存在だった。困惑したデビッドは、曖昧な約束だけを交わしてエルビスを追い払うのだった。しかしエルビスは、腹違いの兄妹であることを承知の上で、ひそかにマレリーを誘惑する。事実を知らないマレリーは彼の魅力の虜になってしまう。禁じられた関係は深まり、二人はついに血縁のタブーを冒す。その事実に気づいた者は、ポールだけだった。そしてエルビスの手によって、一家の幸福に急速に亀裂が入り、不吉な波紋が広がり始める……。
「キング 罪の王」の解説
新しい家庭を築いている父に邪険に扱われた青年が、最悪のタブーを冒し一家に亀裂を生じさせる、サスペンス・ドラマ。監督・製作・脚本は、 ドキュメンタリー作品「Wisconsin Death Trip」(未)で英国アカデミー賞を受賞したジェームズ・マーシュ。脚本は「チョコレート」でアカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされたミロ・アディカ。出演は「モーターサイクル・ダイヤリーズ」のガエル・ガルシア・ベルナル、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でアカデミー賞最優秀助演男優賞にノミネートされたウィリアム・ハート、「ブロークン・フラワーズ」のペル・ジェームズ。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2006年11月18日 |
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キャスト |
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル ウィリアム・ハート ペル・ジェームズ ローラ・ハリング ポール・ダノ ミロ・アディカ |
配給 | メディア・スーツ |
制作国 | アメリカ(2005) |
上映時間 | 105分 |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-13
キリスト教原理主義対ダーウィンの進化論の構図を利用して、非情な復讐劇を晒した衝撃の問題作。本来、文学の表現領域に委ねられた残酷さに敢えて挑戦したジェームズ・マーシュの立ち位置が中立のため、観るものを金縛りにさせます。共感や感動とは対極にある忌避も映画の表現分野になってしまった、時代を象徴させる力作。恐怖映画ではない日常のドラマでも、アンドレ・カイヤットの「眼には眼を」など妄執に囚われた人間の恐ろしさを描いた作品が無かった訳ではないが、これは度を超えている。
極悪無比の主人公を演じたベルナルの、ごく普通な好青年のイメージは返って効いていて、ハートの堅物牧師の演技と共にリアリティある表現になっています。
人間の所業には限りがないこの世の無情さを、、、思い知れということか。