やさしくキスをして 作品情報
やさしくきすをして
スコットランドのグラスゴー。カソリックの高校で音楽を教えるロシーン(エヴァ・バーシッスル)は、若くして結婚した夫と別居中で、心に寂しさを抱えていた。ある日、彼女は教え子のタハラ(シャバナ・バクーシ)の兄で、パキスタン移民2世のカシム(アッタ・ヤクブ)と知り合う。彼はグラスゴーで最先端のクラブでDJとして働きながら、将来自分のクラブを経営することを夢見ている。2人はすぐに愛し合うようになるが、厳格なイスラム教徒であるカシムの父親タリク(アーマッド・リアス)は、異教徒との結婚を認めておらず、従姉妹のジャスミン(スンナ・ミルザ)をカシムの婚約者に決めてしまう。そのことを中々言い出せないカシムだったが、スペイン旅行の際、ついにロシーンに打ち明けた。激怒するロシーンに対し、カシムは、やはり強い絆で結ばれた家族を裏切ることはできないと主張。だがやがて感情を抑えきれなくなったカシムは、家を出てロシーンと暮らすようになる。しかし2人は何度も衝突し、またロシーンはイスラム教徒との交際が原因で、カソリックの高校から無宗派の学校への異動を命じられてしまう。さらにロシーンは、カシムの姉ルクサナ(ギザラ・エイヴァン)から自分たちの家族の事情を見せつけられ、ショックを受ける。そのことをタハラから知らされたカシムは、父を振り払い、ロシーンを追って実家を飛び出した。そしてロシーンの家に戻ったカシムは、彼女と静かにキスを交わすのだった。
「やさしくキスをして」の解説
アイルランド人の女性とイスラム系移民2世の男性が、宗教の問題を乗り越えて愛を貫こうとするラヴ・ストーリー。監督は「SWEET SIXTEEN」のケン・ローチ。脚本のポール・ラヴァティをはじめ、スタッフはほぼ同作からの引き継ぎ。音楽はケン・ローチ作品以外にも「ディープ・ブルー」「ジャスティス 闇の迷宮」などがあるジョージ・フェントン。出演はアイルランドの映画界で活躍するエヴァ・バーシッスル、これがデビューとなるアッタ・ヤクブほか。2004年セザール賞EU(欧州賞)作品賞、同年IFTA賞主演女優賞、同年バリャドリッド国際映画祭観客賞などを受賞。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2005年5月7日 |
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キャスト |
監督:ケン・ローチ
出演:エヴァ・バーシッスル アッタ・ヤクブ アーマッド・リアス シャムシャド・アクタール シャバナ・バクーシ ギザラ・エイヴァン ゲイリー・ルイス デイヴィッド・マッケイ シャイ・ラムザン ジェラルド・ケリー ジョン・ユール スンナ・ミルザ パーシャ・ボカリー |
配給 | シネカノン |
制作国 | イギリス イタリア ドイツ スペイン(2004) |
上映時間 | 104分 |
ユーザーレビュー
総合評価:3点★★★☆☆、1件の投稿があります。
P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2019-09-28
イギリス白人女性とパキスタン男性の宗教・文化の障害を乗り越えようとする恋愛映画。ケン・ローチは、単なる恋の駆け引きではなく、移民国家における恋人たちの家族の軋轢をリアリズムで描く。そして、通例のメロドラマに登場するヒロインにあるべき理想の女性像が微塵もない。なぜ男が家族の絆を犠牲にしてまでヒロインに惚れるのか、他者がまったく理解出来ないくらい魅力がないのだ。身勝手で我儘なヒロインの虜になったパキスタン男の苦悩をケン・ローチは冷静に客観的に描く。
本来ドキュメンタリーで扱うべきテーマを敢えて劇映画にした脚本家ラヴァティとローチの製作姿勢には感服するが、感動はない。