P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-11
ブエノスアイレスからカラカスまで1万キロ以上にも及ぶ旅を通して、青年の成長と自己確立の行程を南米の大自然を背景に描破したロードムービー。共産主義の思想的断面には深入りせず、あくまで医師を目指したチェ・ゲバラの、人のための仕事を使命とする人生観に裏打ちされた純粋さに焦点を当てているのがいい。特にサン・パブロの療養所でのエピソードが素晴らしい。貧困による差別と理想主義の狭間で苦悩する主人公の言動をデリケートに且つ丁寧に描いている。ひとつの教養小説の領域にあると言っていい真摯さは、製作者レッドフォードと主演ベルナルの個性に負うところが大きく、そしてサレス監督の詩的映像タッチに快い印象を持つ。