P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-09
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
当時の森田監督といえば、「黒い家」で「悪魔のいけにえ」的なテイストを発揮し、「39--刑法第三十九条」も当時のサイコ・スリラーブームに便乗しつつ、極めてロジカルな傑作にした監督だ。
だから期待して観たものの、ところが森田監督はこの作品をとんでもない"実験映画"にしてしまったのだ。
新しモノ好きの本領を発揮してHD24pで撮影したものの、凝り過ぎて特撮映画でもないのに合成ショットが800にも及んだとのことで、それってゴジラよりも多いわ、製作が大幅に遅れるわで、かなり問題を起こしたそうだ。
しかも、マスコミを利用して遺族を翻弄する狡猾な殺人犯を軸に置き、人間の悪意と犯罪心理に対して、深遠なテーマを投げかける原作の外殻だけ残し、後は素人の演技以前の、学芸会的なヘタな演技しか出来ない、中居正広演じる殺人犯を意味不明のトリックスターにして、完成したのは森田版「怪人20面相」。
しかも、ラストは石井輝男監督の「江戸川乱歩全集/恐怖奇形人形」もかくやのウルトラ首花火大会。
それなら、最初から江戸川乱歩でもやればよかったんだ、みたいな変な結果になっている。