P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2018-07-04
舞台出身とは言え、初の劇映画挑戦とは思えぬスティーブン・ダルトリーの丁寧かつ繊細な心理描写と遊び心ある演出が、リー・ホールの練られた脚本と一体化したオーセンテックな作品。クライマックスは、父親の頑なだった心境が一転するクリスマスの夜。その前に最低最悪のクリスマスパーティーを描写して、ビリーへの精一杯の(最後の)クリスマスプレゼントとして描く巧みな流れ。バレエ学校の試験場面も素晴らしい。音楽が鳴り始めても動かぬビリーと訝しげに見る教師たち。心と体が一致して初めて踊り出すビリーの天性の資質を視覚化した表現です。そして合格通知を家族が息を潜めて待つシーンの演出の上手さと情感の優しさもいい。
人に優しい映画人のプロフェッショナルな作り、イギリス映画の歴史に残る名作になりました。