P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-19
1960年代生まれの世代意識が色濃く反映されたパラニュークとフィンチャーによる社会批評映画。戦争もなく平和で安定した経済で、特に大きな不平不満を社会にアピールしなくても生きていける時代の、男性性の捌け口をシンボライズする。血と汗にまみれて悶絶するまで格闘することにカタルシスを得るが、それだけでは収まらない。主人公ジャックはパラノイアからテロリズムまで行ってしまう。もう一人の理想の自分をブラッド・ピット演じるタイラーで見せる、映画ならではの表現法と演出が面白い。
1970年の「いちご白書」の頃は闇雲に外に向けられたベクトルだったが、この30年後は自分自身に向けられた危ういベクトルということであろうか。