パルムの僧院 完全版 作品情報

ぱるむのそういんかんぜんばん

ナポリで気楽で放縦な学生々活を終え故郷のパルム(パルマ)に帰って来たファブリスは伯母のサンセヴェリナ公爵夫人に迎えられた。数年ぶりに見る甥の姿に、肉身としての彼女の愛情は忽ち激しい恋心に変った。小胆で愚かなエルネスト四世が権力を振うパルムの宮殿で、大夜会が催された折典獄ファビオ・コンチの娘クレリアもファブリスの面影を深く心に焼きつけた。だが彼女には大金特の四十男クレサンジ侯爵という婚約者があった。エルネスト四世は公爵夫人に夢中であったが、彼女はとり合わず、ひたすらファブリスに思いを燃した。公爵夫人の情人である警視総監ラッシは、総理大臣モスカ伯爵を憎み、彼の追放を策していた。ファブリスは可憐なマリエッタという女優と恋し合ったが、彼女の前の恋人の道化役者ジレッチに発見されたとき彼を刺し殺してしまった。ファブリスは捕われ城砦に幽閉された。彼は独房の小窓から見える庭園に清らかなクレリアの姿を見出して心を慰めていたが、毎日顔を合わす若い二人の間には無言のうちに、いつかはげしい恋が生れた。ラッシの陰謀でファブリスは二十年の禁固刑を宣告された。公爵夫人は大公の卑劣さを面罵し、自分の力で彼を脱獄させよぅと決心した。クレリアもまたファブリスを毒殺するという計画を獄卒グリロから聞き、炭焼党の首領フェラント・パラに助力を求めた公爵夫人に加担してファブリスを脱獄させた。この事件でクレリアの父は罷免され、彼女はクレサンジ侯と結婚せねばならなかった。サンセヴェリナ公爵夫人はファブリスを追手の届かぬマジュール湖畔に伴って静養させたが、ファブリスが今も深くクレリナを恋していることを知ると、彼女の結婚の近いことを告げて諦めさせようとした。ファブリスは身の危険をかえりみずパルムに走ったが、再び捕えられた。公爵夫人は彼を救うため大公の意に屈したが、直後、彼女に思いを寄せるフェラント・パラに大公を暗殺させた。間もなく彼女はモスカ伯爵と結婚し、空しい幸福を求めて遠くパルムの国外へと去った。クレリアに再会したファブリスは、ただ一度最後に許し合っただけで、彼女の幸福を乱さないために、パルムの僧院の奥深く身をかくした。

「パルムの僧院 完全版」の解説

波瀾万丈の運命をたどる青年を描いた大河ロマンの完全版。51年の最初の日本公開時より、15分長いヴァージョンで、夭折の美男俳優として名高いジェラール・フィリップの特集上映ジェラール・フィリップ映画祭で上映された。文豪スタンダールの同名小説の映画化。監督はフィリップとは「花咲ける騎士道」でも組んだクリスチャン=ジャックで、脚本は彼とピエール・ヴァリの共同。撮影はニコラ・エイエ。音楽はレンツォ・ロッセッリーニ。共演は「オルフェ」のマリア・カザレス、「天井桟敷の人々」のルイ・サルーほか。1998年11月7日より、東京・テアトル新宿にて開催された「ジェラール・フィリップ映画祭II」にて公開。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1998年11月7日
キャスト 監督クリスチャン・ジャック
出演ジェラール・フィリップ マリア・カザレス ルイ・サルー レネ・フォーレ
配給 セテラ
制作国 フランス(1948)
上映時間 173分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2020-05-21

パルムの僧院を観た。原作はこれまで何度も読んだ。面白い情熱的な小説である。この映画を観た時も期待を裏切らなかった。愛のあふれる作品だ。

最終更新日:2023-07-21 18:40:32

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